おかえり、エジョン【２】 (ページ18)

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ついに、韓国で私の参加する初めてのコンサート。リハーサルを入念にしたおかげで何とか眠れたけど、緊張で心臓の音が朝からうるさい。

「はぁ…ギョンス、緊張解いて」

DO「急に無理難題やめてくれない？」

「だって緊張で口から心臓出てきそう」

DO「大丈夫だって、昨日のリハ上手くやれてたし」

「ギョ、ギョンス…！好き…！」

DO「はいはい」

抱きついたらぽんぽんと優しく背中を叩いてくれた。ギョンスがすごい優しい。明日は雨が降るかもしれない。

DO「失礼な事考えてない？」

「考えてないよ」

DO「ならいいけど」

危ない、ギョンスは勘がびっくりするほど鋭いんだった。忘れてた。

アンコンでは着ぐるみを着ることになっている。私はアザラシだけど、何故アザラシなのかはよく分からない。ヨナオンニは可愛いからいいでしょ、とかなり投げやりだった。

円陣を組んで舞台袖へ向かう。すでにVCRは始まっていて所々歓声が聞こえる。

…大丈夫かな。初めての韓国でのコンサートだ。活動を始めた頃のサイン会や、インスタやVLIVEをした時に送られてくる心無い言葉がこんな時に限って頭をよぎる。

KA「A」

「ん？」

KA「心配するな、大丈夫だから」

「こういう時目敏いジョンイニほんとやだ」

KA「ははっ。大丈夫、Aなら大丈夫だよ」

「…うん、ありがとう。ハルスイッソ」

いつもと同じように、おまじないのように唱える。大丈夫、エジョン。あなたにはたくさんの味方も居るんだから。

戻ってくる時に決めたんだから。私のことを応援してくれてる人のために頑張るんだって。弱気になってどうするの。

自分にそう言い聞かせてひとつ深呼吸をする。

LY「A、いつも通りでいいんだから。変に気を張らないで」

「うん、大丈夫。いける」

LY「さすが。そうこなくっちゃね」

イシンオッパがにこりと微笑んでくれる。どうしてこうもジョンインやイシンオッパは目敏いんだろうか。

半ば呆れながらも、スタッフのカウントダウンの声が聞こえる。

ペンライトの海からは黄色い歓声が湧き、流れる音楽に身を委ねた。