おかえり、エジョン【２】 (ページ15)

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-Aejeong side-

『Aさん、クランクアップでーす』

『お疲れ様した、ありがとうございました～』

私はみんなより一足先にドラマ撮影を終えた。俊兄ちゃんから花束を受け取る。なんか兄に貰うのは小っ恥ずかしい。

俊『お疲れ、A』

『ありがとうございます』

他の共演者の人たちともかなり打ち解けていい雰囲気で撮影をすることが出来た。

俊『Aすごく良かったよ。さすが俺の妹』

『伊達に廣田俊之介の妹やってないからね』

現場では早々に兄妹だと打ち明けたが、監督はやっぱりね、という顔をしていた。どうやら狙ってキャスティングしてくれたらしい。

俊『そうだ、ちゃんと公表したから』

『ん？何を？』

『だから、俺たちが兄妹だって。だからインスタフォローした』

ニコニコとスマホを見せてくる俊兄ちゃん。え？公表した?私何も聞いてないけど？？

俊『Aの事務所もOKって坂井さんが』

日本でAとしての活動の時は、俊兄ちゃんの事務所の坂井さんがマネージャーをしてくれている。韓国語も話せるから、よくうちの事務所のスタッフとも話をしてる。

『…まじで？』

俊『まじで。俺のフォローしといてね』

……まあ、俊兄ちゃんの機嫌がいいからいいとしよう。どうせなら予め教えていて欲しかったけど。

公表したからとはいえ、特に何か変わる訳でもないだろう…とは踏んでいる。ドラマ共演もしてしまった以上、もうないだろうし。

俊『韓国にはいつ戻る？』

『今から～明日レコーディングだから』

俊『え、アルバム出すの？』

『違う、私プロデューサー側』

俊『…お前もしかして俺より稼いでんな？』

兄ちゃんがにやりと笑う。ご飯奢れとかろくでもないことを言い出す前に私は退散するとしよう……。

坂井さんによるとどうやらすでに新しいオファーが来ているらしい。それより私はまず曲を仕上げなきゃ。

[歌詞出来たので事務所の方に送りました]

[本当にありがとう！また出来たら呼ぶからよろしくね]

[こちらこそありがとうございます、待ってます]

スタンプを送って電源を落とす。
よし、帰ったら早速作らなきゃ。届いている歌詞に期待をふくらませて私は空港へ向かった。