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拝啓兄さん。 ページ1

ヴィランとの最終決戦。

僕達はあの手男_死柄木弔を倒した、はずだった。最期の抗いなのか死柄木弔は死ぬならばお前も、と兄さんに向かってその手を伸ばした。それは破壊の手。強化され人でさえ粉々にしてしまう終の手。兄さんは油断していた。
死柄木弔を倒した。もう敵はいない。そう思ってしまった安心感故か消耗した体は指ひとつ動かせなかった。兄さんは逃げられなかったし他の誰も救ける事はできなかった。まあ、もう結果は分かっていると思うが話させて欲しい。お察しの通り僕が身代わりになった。

簡単な話だったね。僕は兄さんの近くにいた。だから救けた。1ミリも動けなくなった兄さんの前に立ち、死柄木弔の手は僕の首を掴んだ。
道連れにする事を達成した死柄木弔は意識を失い、同時に僕の体の崩壊が始まった。
遠くから誰かの叫び声が聞こえた。
粉々になっていく体に狭くなる視界、そこに映ったのは絶望した顔の兄さんが動かない体を必死に動かそうとしている姿だった。嗚呼止めてよ兄さん、無理やり動かそうとしたら腕が壊れちゃうよ兄さんの商売道具になるんだから大事にしなよ。

灰のように散り散りに消えていく手を兄さんの頬に伸ばした。兄さん兄さん、僕の大好きな片割れ。貴方はきっと1番のヒーローになれる。だからそんなに泣かないで?

兄さんは泣いた顔よりも笑った顔の方が似合うよ、だってヒーローは笑顔が大事なんでしょ。声も出ていないはずなのに泣きながらも頷く兄さんにはきっと届いているんだろう。双子って本当に凄いね。嗚呼そうだ、伝わっているなら代わりに伝えて欲しいな…

母さんに育ててくれてありがとう貴方の娘として生まれてよかったって

相澤先生にはちゃんと休んで欲しいな、大変だと思うけどこれからも皆を導いて欲しいって伝えて。

あと自分の事も周りも大事にしてヒーロー活動頑張ってって、バクゴー君に伝えて。
これまでずっと面倒をかけてごめんなさい傍にいてくれてありがとうって百に、あと、あとね轟くんに梅雨ちゃんにクラスの皆、そうだオールマイトや先生たちも、ああ、待ってたくさん、たくさん伝えたい人が伝えたい事があるのに、



粉々になった体は空へと消え、こうして僕は死柄木弔の攻撃により消滅した。




はずだった。
目が覚めたら(もうこの時点で可笑しい)周りはあの戦地ではなく何も無い静かな森の中だった。


『どうしてこうなった。』

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作者名:人間失格な人間?2← x他1人 | 作成日時:2019年12月21日 20時

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