出逢い ページ2
そいつと出逢ったのは中学の入学式だった。
緊張した面持ちで少し不格好な制服を纏い校門へ足を踏み入れる人
楽しげに友人とクラス表を見て語り合う人
色々な人がいた。俺もそのうちの1人
新しい生活への期待に、緊張。これから先の事を想像すると楽しみで仕方がない。新しい新品の鞄を力強く握り、そこへ足を踏み入れようとした、その時
前から強い風がふいた。
ザーザーと木の葉が擦れ合う音をたて、まだ新しい桜の花びらが風の流れる方向へと吸い込まれるように飛んでいく。
横ぎる桜の花びらをなんとなしに目で追えば、少し離れた場所に立った女子生徒に目がいった。通行人なんてまだまだたくさん居るのに何故その女子生徒だけが目に入ったのかは今でも分からない。
でも不覚にも綺麗だって思った事は覚えてる。
女子生徒は丁度桜の木の下に立っていた。
風でなびく短い黒髪を顔に掛からないよう左手でそっと耳にかけ下を向いていていた透き通るような蜂蜜色の瞳を前へと向ける。
一つ一つの仕草が洗礼されていて気づけばじっとその女子生徒の事を見つめていた。
流石に自分が見られている事に気づいたらしい女子生徒はその瞳にボケっとした俺を写し
一瞬ぽかんとしていたが目元を細め緩く口元を綻ばせ肩の位置で小さく手を俺に振った。
女子生徒は小さく頭を下げて俺の横を通り過ぎた。
遠くで幼馴染の声が聞こえるまで俺はそこに立ち尽くしていた。
長い校長の説明も終わり今度は自分のクラスでの自己紹介が始まった。サッカー部に入部希望だとか推理小説が好きだとか俺の当たり障りのない自己紹介は案外短く終わった。
ちなみに驚きな事に幼馴染2人とは同じクラスだった。なんという腐れ縁
「次はー。二木頼む」
「はい。」
高くもなく低くもない、耳に心地のいい声が聞こえた。ふと、1番左前の生徒を見る。肩につかないくらいの黒ショートに透けるような綺麗な白い肌。さっきの女子生徒だ。
「○○小から来ました。二木Aです。今のところ部活に入るつもりはありません。」
食い入るように見すぎたのか振り向いた女子生徒_二木と目が合った。
二木は俺を見て目を細めさっきのように優しく微笑む。
「それと、工藤新一くんに一言」
「え、俺?」
いきなりの指名に俺は目を見開いて自分を指さしながら聞き返した。それに二木は笑いながら頷く、
「私、君のことが好きです。」
「……へ?」
数分後固まっていたクラスメイト(主に園子)が驚きの声を上げる。
これが二木との出逢いだ。
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作者名:人間失格な人間? | 作成日時:2019年5月14日 20時