＊お出かけ ページ2
「わり、もう出れるか？」
「ちょっとまって！ピアスだけ〜」
「どれ、貸してみ。」
耳に触れる指がくすぐったくて、反射で顔を背けてしまう。
「お〜ら、大人しくしてろっての」
「万里が下手くそなんだよ」
「けっ、言ってくれるな」
私がなかなか付けられなかった新しいお花のピアスをスマートに付けてくれた。
「うしっ、完璧。このピアスどうしたん？」
「ん〜？なんか万里みたいだな〜って思って買ってみた」
「はっ、ずいぶん可愛らしいのな？」
「それはもう、とっっってもね？」
寝起きのあなたは、ずいぶん可愛らしいですよ？
・
「お！結構空いてるじゃん。今日来てよかったね」
「ま、平日の昼間じゃこんなもんだろ。俺の休日に感謝だな」
「私が休日を合わせたことに感謝しなさい。お礼はキャラメルポップコーンLサイズでよろしい」
「へいへいわ〜ったよ、お嬢様」
正午からはじまる映画を観に、うちの最寄り駅からから3駅先の映画館に来ていた。
これから観る映画は『潰れかけた劇場を歌姫が救う』という内容で、フライヤーを手に観にいきたい！と言えば「なんだか他人事に思えねぇわ」なんて複雑そうだったが、こうして一緒に観ることになった。
「…なにちゃっかりチュロスまで買ってんだよ」
「映画中にお腹鳴ったら嫌じゃん」
「このLサイズのポップコーンが見えてねぇのか？」
俺は塩派なんだよ、といいつつキャラメルポップコーンとコーラを交互に口へ運ぶ彼と、入場が始まるまでエントランスに座っていた。
「あれ？もしかしてもしかして！！セッツァーと彼女ちゃん？」
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作者名：ムリ子 | 作成日時：2019年8月1日 22時
