未来の彼ら (ページ8)

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６.５日目ページ8

緑谷side

不思議な事が起きた。

銀行強盗が一人の男性と女の子を人質に取った。
人質を取られちゃ僕たちヒーローも目立った事はできない。轟くんや飯田くんも変な事はできないと思ってるだろう。

「さっさと金出せや！！さもなきゃこいつら木っ端微塵にすんぞ！！」

「ままぁ！ぱぱぁ…！」

「結衣！お願いします！私が代わりに人質になるのでどうか…どうかその子だけは…！！」

「なァ…！助けてくれよ！“ヒーロー”だろ！？」

「っ！緑谷、どうする」

「人質を取られちゃ目立つ動きはできない…。ここは説得して…ああでも時間が…！」

「そんな暇ないぞ！あの男性も硬直している！早く救けなければ…！」

ああああくそっ！ここにかっちゃんがいれば、
「死ねやこのクソ雑魚！！」とか言って倒すのに…！
一回のワンフォーオールであそこまで跳ぶか…！？

「あ、あの…っ！こ、こんなの、やめまひょうよ……！」

震える声で、噛みながらそう発したのは人質にされた男性。

「こ、こんな事ひても…！その女の子を解放ひてくだはい…！」

「あ"あっ！？うっせぇんだよ！殺されててーのか！？」

「ひっ…！」

「あぁーん！ままぁ！ぱぱぁ！」

「うるせっつってんだろ！？ぶっ殺すぞ！！」

「！！危ない！！」

男が、ナイフを振り上げた。振り上げた先には、あの女の子。僕らは一斉に男に向かったが、ナイフはもう女の子の目の前まで迫っていた。

「あ"、あ"あぁぁ…っ！！」

でも刺されたのはあの男性だった。
咄嗟に女の子を庇ったんだろう。すぐに僕らは男を捕まえ、女の子を保護した。

「しっかり！今病院に…！」

ドクドク、と腹部から流れる血。この出血量…早く連れていかないと、出血多量で死…！！

「

＿＿陽くん」

「＿……カナ…ちゃん…？」

彼が、そう言った。
確かに聞こえた。「陽くん」と。でも周りにはそんな女性と思われるような人はいない。

「カナ、ちゃん…カナちゃん……！待って…っ！

＿＿救けてくれて…ありが、とう…」

そう言い男性は気絶した。
刺されたと思われる腹部からはもう血は流れていなかった。

一体、何が起きたのか。僕には全くわからなかった。