１７.５日目 ページ26
No side
相澤はクラス名簿と茶封筒を持ちながら教室に向かっていた。6時間目は通常ならば英語だったが、マイクに無理を言ってHRにしてもらった。
ガラッ、と教室の扉を開けるとクラスの皆は驚いた表情をした。
どうして相澤先生が。
次って英語だよね？
そんな事を言いながらも席に着く生徒達。
「突然すまんな。だが、英語よりもこっちのが重要なもんでね」
「英語じゃないんですかー？」
「え、何すんの？」
「抜き打ちテストとかじゃないよねー！？」
「静かに。……今から手紙を配る。が、まだ中身は見ないように」
そう言い相澤は生徒一人一人に手紙を配る。
ご丁寧に、男子の封筒は薄い青色、女子は薄い桃色となっている。
「ん？この字どっかで…」
「これAちゃんの字だわ」
「なんで手紙なんか？」
「これまでの事謝るとかー？」
「だったら本人から言ってほしいよなー。こんな手紙とかじゃなくて」
動揺から呆れに変わる。ザワザワと教室がうるさくなる。それを相澤が一喝すると教室は一気に静かになった。
「…山城は引っ越してなんかいない」
「え？じゃあどうしたんですか？」
「退学…じゃねーわな、多分」
「退学でもなんでもない。
＿＿死んだよ、山城は。つい一週間前だ」
それに驚く者、唖然とする者、平然を装っている者、多種多様である。
「今から二週間くらい前だ。山城は病気にかかった。年寄りしか、かからないと言われている病気に偶々山城はかかった。
それからだ、山城がお前らに対して冷たく接し始めたのは。
嫌だと思いながらも傷つけ、悲しいと思いながらも本気でもない暴言を吐いた。それも全部お前らから嫌われる為だ。
悲しむのは自分だけでいい、苦しむのは自分だけでいい、そう思いながらお前らを欺いた。
その手紙は、山城が死ぬ前に書いた手紙だ。心して読むように」
相澤がそう言い切ると、皆は封筒を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 833人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀糖君 - 一番最期の手紙がヤオモモでも八百万さんでもなく百ちゃんなのが普通に泣けるよね...視界がぼやけて泣いてることに気づくのに時間かかった... (2022年10月17日 16時) (
レス) @page31 id: 6f9faa66b6 (このIDを非表示/違反報告)
未来 - マジヤバい…感動…めっちゃ泣いた…腫れた (2022年7月31日 22時) (レス) @page32 id: b511dfa76e (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました。手紙のところで、ウルウルときてしまいました！ (2021年10月30日 0時) (レス) @page33 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 泣きはしなかったけど、とても良い話ですね！( *´艸) (2021年8月14日 15時) (レス) id: 8b449f7850 (このIDを非表示/違反報告)
らむ@ヴィル様の旦那です(プロフ) - 本気で泣きました…素晴らしい作品をありがとうございます。 (2021年5月26日 1時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はる
| 作成日時：2018年1月31日 23時
