帰ります！5 ページ5
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放課後。みんなでどこかに遊びに行こう、って女子みんなで教室から出て下駄箱まで来たはいいけれど、三奈ちゃんが忘れ物をした、ということでみんなで教室に戻っている。
「本当忘れちゃってごめんねー！せっかく下駄箱まで行ったのに」
「すぐですしお気になさらないでください」
「そうだよ！私だって忘れ物することあるし！」
三奈ちゃんのいつも通りの謝り方に、百とお茶子ちゃんがフォローを入れる。
みんなでワイワイと教室の前に戻ってきた時、中から男子達の声が聞こえた。
声を出さなかったけれど、みんな会話が気になる。こっそりと扉を開けて聞き始めた。
「僕は麗日さんが気になってるというか……轟くんは誰が好きなの？」
バレないようにちょこっとだけだから、誰が話しているのかは声でしか判断出来ない。この声は出久くん。とてもわかりやすい。
話の流れ的に好きな人の話で、次が轟くんらしいけど、つまりは轟くんの好きな人がわかる訳で……
「ど、あ、私聞けない、先行く」
「させるか」
余りにも聞いていられる事ではなく、断りを入れれようとすれば、透ちゃんによってがしりと掴まれ阻止される。
俺は――と轟くんの声が聞こえ始めた。
――いやだ、やめて、ききたくない。
わからなかった。なんでそう思ったのか、私じゃ理解出来なかった。
周りの空気がさっと冷たくなっていって、どこか寒さとぎゅうっと胸が締め付けられる感じがした。
「A、だな」
あいつが好きだ、なんて。やっぱり先に行かなくてよかったと思ってしまった。
途端、さっきまでの胸が締め付けられる気持ちが別の気持ちへと変わっていく。
きっと恋だ、そう思った。
「A……よかったね！」
「両思いですわね！」
ありがとう、と耳郎ちゃんに返す。
百にはなんで両思いなの、と私にしては真剣に返した。
百は一瞬きょとんとした後、まるで赤ちゃんに笑いかけるような柔らかい笑顔で私に告げる。
「誰から見ても好きなのはバレバレですわ」
自覚してないだけで、私はきっと前から好きだった。
そんなのは勘だけど、合っている気がする。
そうかもしれないね、なんて私も笑った。
「てことで、カラオケでも行くか！」
先に歩き出したお茶子ちゃんの一声で、私達は賛成、とばかりにそれについて行った。
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作者ホームページ：なし 作成日時：2017年4月18日 19時
