てことで私、帰ります。【MHA】 (ページ2)

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帰ります！2 ページ2

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一番乗り……のつもりで教室に入った。
つもり、というのは、実際に一番ではなかったからだ。
わーい、なんて子供くさい声を発しながら、軽くジャンプで入った先には、既に自分の席についている彼がいた。

「……はよ、A」

「お、おっ、おはよう、ございます」

子供くさい声をあげていたのを見られた、それがとても恥ずかしくて、挨拶さえも噛み噛みになってしまう。
そういえば昨日、彼の名前を聞いていなかったな――そう思って、羞恥心を噛み殺しながら私の方から名前を問いかけた。

「あなたの名前、聞いてなかったから教えてほしい……な、」

たどたどしくなってしまったけど、しっかりと聞くことができた……！
よかった、と安堵の溜息をついて、少し俯いて返答を待つ。

「轟焦凍だ」

「轟くん、ね、よろしく」

にっこりと私の中の精一杯の笑顔で笑いかけると、彼も薄く笑い返してくれた。
恥ずかしがってばっかりじゃなくて、こういうのもいいかもしれない。
えへへ、と私にしては柔らかい笑顔を向けていた――時、教室の無駄に大きい扉が開く音がした。

「あら、Aさんと轟さん……仲がよろしかったのですね」

入学初日から仲良くなった、百が入ってくる。
笑いかけているところを見られた。
本当にそれだけが恥ずかしかった。
赤みが引いたばかりの顔が、また紅潮していく。
こんなに仲がよろしかったなんて知りませんでした、と笑う彼女に、私はまた叫んだ。

「て、て、ていうことで私……帰りますっ！！」

「Aさん、まだ朝……」

百、たしかに朝だけど、私じゃ恥ずかしすぎてこの空間に居れないよ。

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