時の流れ 捌拾玖 ページ39
会議の後。
上の空な私にお館様は私だけを呼んだ。
「囲炉裏、少しこちらにおいで」
お館様が私を手招いた。
「…………」
「伝えるのが遅くなってしまってごめんね。無一郎のことなんだけど…
彼は記憶を失ってしまってね」
「……………え」
そこからは全て聞いた。
お館様の奥さんが、無一郎兄さんと有一郎兄さんの元に通っていたある日、彼らが鬼に遭遇してしまったこと。
有一郎兄さんは虚しく死んでしまい、無一郎兄さんの今までの記憶はなくなってしまったこと。
今では、少し有一郎兄さん似のキツイ性格になってしまったこと。
「そう、ですか…」
記憶がないということは、私のことを知らない。
つまりは私を他人だと、そう思っているんだ。
「記憶が戻る兆しはまだまだわからないけど、でも、いつかきっと戻る。囲炉裏。たった一人の親族がこうなってしまったのは辛いけど、陰ながら見ていこう」
「はい…」
不意に鼻をすすってしまう。
ここじゃ泣くべきじゃないのに。
「囲炉裏、大丈夫。彼の記憶は戻るよ。絶対に」
泣きそうな私にお館様は大丈夫。大丈夫と、私をなだめるように、落ち着かせるように繰り返す。
しかし、それでも私は耐えきれず、私の頬に伝って床に落ちていく。
あまね様が私の背中を擦ってくださった。
「……はい!時柱時季囲炉裏、時透無一郎の記憶が戻るまで、誠心誠意、頑張ります…!」
そ、うか。記憶がないからあんなに冷たくしちゃったわけで、私のこと、嫌いになったわけじゃないんだ…。
良かった。
本当に良かった……。
私は覚束無い足取りで蝶屋敷へと向かった。
ーーー
皆様お久しぶりです。アニメの刀鍛冶編見て書きたくなっちゃった……
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ぬき - 続きみたすぎる (2021年12月28日 10時) (レス) @page38 id: e09826d341 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - 好きです。あーすごくいいところで!続きが気になります!応援しています、頑張ってください!!!!!!!! (2020年7月19日 3時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
時桜ミク - すごい面白かったです。続き楽しみにしてます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 22時) (レス) id: 70727446e8 (このIDを非表示/違反報告)
涙-るい-(プロフ) - さろぺさん» 有難うございます!了解です!待ちますね! (2020年1月27日 4時) (レス) id: 5fa6124f9a (このIDを非表示/違反報告)
さろぺ(プロフ) - 涙-るい-さん» お願いします!でも夢主ちゃんの見た目を少し変えようと思いまして。それまで待っていただけますか? (2020年1月25日 11時) (レス) id: 84dcb5da09 (このIDを非表示/違反報告)
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