時の流れ 漆拾弐 ページ22
鬼を斬った後、先程、「危ない」と言った男に「ありがとう」と言われた。
私は振り向かずに言った。
「いいえ。ですが、私が此奴を殺さなければ、貴男は死んでいたかもしれませんね」
と言って木の枝まで跳躍し、振り返って一言。
「生き残っているといいですね。では」
言ったら木々に飛び移って安全そうな所に跳んだ。
それから七日後早朝。
最終選別の最終日に私は下山をした。
残ったのは私を含め、たったの五人。
あとは皆やられたみたいだ。
弱いからだろうね。
くるりと、周囲を見渡す。
すると、見覚えのある髪飾りに横で一つ結びの女の子を見つけた。
あ、カナヲちゃんだ。
蝶々を人差し指で遊んでる?カナヲちゃん可愛い。
「お帰りなさいませ」
幼い子供の声。
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」
「で?俺はこれからどうすりゃいい。刀は?」
彼の問に子供は答えた。
「まずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測り、その後は階級を刻ませていただきます」
「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在皆様は一番下の癸でございます」
へぇ。
「刀は?」
先ほどと同じ問い繰り返す彼。刀刀ってこいつ、刀しか言えねぇのかよ。
「本日中に玉鋼を選らんでいただき、刀が出来上がるまで十日から十五日となります。さらに今からは鎹烏をつけさせていただきます」
と子供は言いながら、パンパンと両手を叩くと、青い空には先程まで居なかった鴉がいた。
鴉は私の肩に、トッと止まった。
「かすいがらす……?」
というと、首であろう所が上下に振った。
よろしくね。というと、「ヨロシク」というだけであとは何も言わなかった。
「鎹烏は主に連絡用でございます」
…………まぁ静かな方がいいもんね。
鴉の首をこちょこちょする。鴉は嬉しそうに眼を細める。
うんかわいい。
鴉と遊んでいると、
「ギャアッ!」
鴉の声。
振り返ってみると、先程問いを繰り返していた彼が鴉を嬲っていた様子だった。
「どうでもいいんだよ鴉なんて!」
そう言い捨てるとあの子供に手を伸ばそうとするのを、私は見逃さなかった。
ぱしっ
手と手がぶつかる音。
「あァ?なんだてめぇ」
不良みたいな台詞と共に、私を見る。
「幼児相手に、何暴力振ろうとしてんだよ」
378人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬき - 続きみたすぎる (2021年12月28日 10時) (レス) @page38 id: e09826d341 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - 好きです。あーすごくいいところで!続きが気になります!応援しています、頑張ってください!!!!!!!! (2020年7月19日 3時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
時桜ミク - すごい面白かったです。続き楽しみにしてます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 22時) (レス) id: 70727446e8 (このIDを非表示/違反報告)
涙-るい-(プロフ) - さろぺさん» 有難うございます!了解です!待ちますね! (2020年1月27日 4時) (レス) id: 5fa6124f9a (このIDを非表示/違反報告)
さろぺ(プロフ) - 涙-るい-さん» お願いします!でも夢主ちゃんの見た目を少し変えようと思いまして。それまで待っていただけますか? (2020年1月25日 11時) (レス) id: 84dcb5da09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ