ブックカフェの情報屋【降谷零・安室透】

☆第38話 ページ38

「火事だっ！」

誰かの声がホールに響く

火災報知器の音が鳴り響き、スプリンクラーが作動するが火の周りが速いのか意味がない

逃げる人たちの悲鳴、煙の臭い

「あ･････････あぁ･･････」

「Aさん！逃げないとっ！」

少年が腕を引っ張ってくれる

「い、嫌っ！お兄ちゃん･･････！お兄ちゃん･･････！」

昔の光景がフラッシュバックする

大好きなお兄ちゃんを連れて行ってしまった大嫌いな火

「Aさん！？お兄ちゃんって誰！？ここにはいないよっ！」

「お兄ちゃんが･･････向こうの火の中にっ！行かないとっ･･･！」

火の方に行こうとする私の腕を少年が一生懸命引っ張ってくれている

「Aさん！お願い！危ないから逃げないとっ！」

「おいっ！こんなところでなにしてる」

「･･････赤井さんっ！？Aさんが変なんだ！」

赤井さんと呼ばれた人はこちらに向かって来ると、私を軽々と抱き抱えて走り出す

「やめてっ！お兄ちゃんがっ･･････！いやぁ！お兄ちゃん！」

あぁ、まただ

また、お兄ちゃんに手が届かない

目の前が真っ黒になる

ねぇ、お兄ちゃん･･････どこにいるの？

私1人だけが助かるの？

「気を失ったか･･･ボウヤ、とりあえずここから出るぞ」

「うんっ！」

★第39話→←★第37話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す