真面目な君を私は知っている

20話 ページ20

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お店の奥の方に進んでいくと、見慣れない男の子が花柄の生地をじっと見ていた


青いおかっぱの髪の毛に、自分より少し小さな背丈

背中に真っ黒なランドセルをかるっていた




横顔を見るに、一見女の子に見間違えそうなくらい可愛らしい顔をしていたが 服装的に男の子だろう。



16時…今、小学校は下校時間か



『花柄、綺麗で良いよね』

｢えっ｣



私が声をかけると、男の子は凄い速さで私の方を見た


『あ、この生地可愛い』


これにしちゃおうかな

作りかけの衣装を、カバンから取り出し 生地を合わせてみる




｢…綺麗｣

『ふふ、そうでしょ ありがとう』



男の子が、ドレスの裾を軽く掴んで ポツリと呟いた


『これね、舞台 ロミオとジュリエットに使う衣装なんだ〜』


｢舞台………｣





『もしかして、舞台に興味ある？』


｢…………｣




男の子は少し俯いて、コクリと頷いた



『そっか。じゃあ、今度 駅前の劇場で演劇をするの。暇だったら、見においで』


カバンの中から、チラシとチケットを出して男の子に差し出した


『本当は姉さんに上げるつもりだったんだけど、生憎仕事で来れないって言われてね』

｢貴方は出ないんですか？｣




『私の担当は衣装製作だから、本番は裏から見てるよ


どうする？』




男の子は、少し考える素振りをして


間を開けてからこう言った






｢…行きます｣




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