【REBORN】包容する大空 ⅩｘＸⅡ【XANXUS】 (ページ30)

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標的1434＊進むと決めたのは己の道ページ30

閉じた瞼の下で思い出すのは、懐かしくて大切な日々。

久しぶりに、強くなりたいと思った頃の夢を見た。

それは前世じゃなく今叶った願い。

だけど変わらないのは、大切なものがあること。

この世界を知った。いつまでも先延ばしにはできない。

護れる力がこの手にある。

もしも私がボンゴレの次期ボス候補という立場を拒み、ボスになる事も放棄したら、きっとその瞬間にボンゴレとの関わりは消える。

イタリアに来る事も、『VARIA』に来ることも、たぶんなくなる。

ただの表社会の、どこにでもいる普通の人間として生きていくことになる。

それは寂しい。だけれど、繋ぎとめたい想いだけでやっていける世界じゃない。

『栄えるも滅びるも好きにせよ。』

ふと思い出したボンゴレⅠ世の言葉。

私に原型のボンゴレリングを託してくれた人。

九代目が言ってくれるようなことが自分に出来るかは分からない。

この広い世界で私の力はどこまで通じるんだろう……。

目の前は真っ暗だ。日本に居続けるならきっとこういう事はない。

だのに、不思議と恐れはない。

沢山の幸せ。沢山の想い。沢山の痛み。沢山の悲しみ。

知ってしまえば知らなかった時には戻れない。

だからせめて、それから逃げ出したくない。

気付いてしまえば、もう逃げ出したくない。

貴「………九代目。我儘言ってもいいですか？」

九「何だい？」

優しくてあたたかな人。

私の我儘をこれまでも聞いてくれた。同時に託されたものの大きさに潰されそうだった。

貴「高校を卒業するまでは、日本で、ただの学生でいていいですか？」

私の中で答えもう出ているんだ。

解ってる。でもだからこそ共に居てくれる仲間には考える時間を与えたい。

長いのか短いのか分からないけれど。

私の言葉に九代目はゆっくりと目を瞠ると、優しく穏やかな瞳をみせた。

九「あぁ……勿論。」

私は一体それにどんな表情を返すことができているんだろう……。