＊ ページ23
．
お風呂場へと行くと洗面所の所でAが蹲っていた。
Aの周りにはハンガーや洗濯バサミが散乱していてさっきの音はこれだったんだろう。
元太 「A？」
蹲るAの肩を触れるとビクッ！と大きく反応し、次第にガタガタと震え始めた。
元太 「お前もしかして……雷ダメなの？」
そう言うとAはゆっくりと顔を上げて俺の方を見た。
その顔は酷く泣きそうになっていて。
それでもAは、
『そんなわけないやん。ちょっと停電してビックリしてもただけやで』
俺に隠そうと強がった。
『わ、わー、まじで停電とかリアルになんねんな、どないしたらええんやろ、復旧すんのかな、』
元「A、」
『雷落ちたんかな、近くよな、ご近所さん大丈夫かな、あ、ハンガーとかバラ撒いてもた、片さな、』
元「A！！」
────ドカーンッ！！！！
『っ！！？』
また外で大きな雷の音がしてAはぎゅっと俺に抱き着いてきた。
元『ちょっ、A、』
ぎゅーっと痛いぐらいに俺を抱きしめてくる。
そんなAの背中にそっと腕をまわしてぎゅっと抱きしめ返した。
震えているAを落ち着かそうと耳元で「大丈夫。大丈夫だから」と言うがなかなか鳴り止まない雷の音のせいでうまくいかない。
するとリビングの方からケータイの音が聞こえてきた。
その音にAはバッと顔を上げて反応した。
『如恵留くん……、』
元「っ、」
きっと如恵留は雷が鳴ってるから電話してきんだろう。Aが雷ダメなのを知ってるから。
多分、一緒に住んでた時期は雷の日は如恵留がずっとAの傍にいたんだろう。こうしてAが一人暮らしをしてからも雷の日はAを気にかけていたんだろう。
俺は知らなかった。
俺には強がってきた。
──俺には一度だって、頼ってこなかった。
こんなのただの嫉妬だ。
分かってる。
……でも、今は、
元「A、」
『げん、』
元「俺がいるから」
『ん……っ』
俺は唇をAの唇に重ねた。
Aは目を見開いて驚いていたが、俺はAの目から流れる涙を止めたかった。
───俺が、Aを守りたかった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「紅一点」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Bridgit(プロフ) - こんにちは！パスワードを教えて頂きたいです！ (2022年11月30日 22時) (
レス) id: b99628b4ab (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - こんにちは😊この小説のパスワードを教えていただきたいです！ (2022年2月2日 18時) (レス) id: 42504fb9ac (このIDを非表示/違反報告)
奈央(プロフ) - こんにちはこの小説1、2のパスワード教えてくださいお願いします！ (2021年8月23日 13時) (レス) id: 7f9d615ee9 (このIDを非表示/違反報告)
ponzu(プロフ) - こんにちは！もしよろしければ1からのパスワードを教えて頂きたいです！ (2021年5月1日 23時) (レス) id: 12c44f2f6e (このIDを非表示/違反報告)
ponzu(プロフ) - こんにちは！ (2021年5月1日 23時) (レス) id: 12c44f2f6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ましろ | 作成日時：2020年8月15日 5時
