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七「はーい、今日から一緒の担任になりました。七五三掛龍也です。今年で最後だからね。進路のこともあるけど最高の一年にしましょう!」
そう教卓の前に立って言うしめをぼーっと見ながらまた進路か……と思う。
進路かぁ。俺はどうするんだろう。
一時期は北海道に進学しようと考えてた。まだ決定したとまではいかないけど。
6年前にAと始めた文通はずっと続いていて。
たわいもない話が殆どで、時には真面目な話や相談事。初めは拙い文章に拙い文字から始まった文通も時が経つに連れそれなりに成長してきて。
……でも、ここ一ヶ月途絶えたことの無かった手紙が届かなくなった。
Aは今、どうしてるんだろう……。
俺は窓から見える桜を見ながらそう思った。
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三年生になり、数日が経った。
相変わらずAからの手紙はまだ来てなくて。
昼休み、俺は中庭に呼び出されていた。
朝、靴箱を見ると【宮近くんへ】と書かれた手紙が入っていて内容は【昼休みに中庭に来てください】と書かれていた。
そしていつも一緒に昼ご飯を食べている海人と松倉に中庭に行くことを伝え中庭に向かう。
中庭に行くと隣のクラスの女子がいた。
確か、名前は、
宮「えっと、遠藤さん…だっけ?」
去年同じ委員会だったなぁと思いながらも声をかけた。
あってたらしく「はい、遠藤です……」と言う遠藤さん。
そして顔を赤らめて「宮近くんのことが好きです。付き合ってください」と告白された。
宮「……ごめん。」
俺がそう答えると遠藤さんは少し泣きそうな顔をしながら「そうだよね、いきなりごめんねっ」と謝った。
宮「ううん、告白してくれてありがとう。嬉しかった」
遠「……宮近くんは好きな子いるの?」
そう言われて思い浮かんだのは幼い記憶のまま止まっている女の子。
宮「……うん。好きな子いるよ」
遠「そっか……」
何度目だろう。こうやって告白を断るのは。
俺は、いつまでAのことを想っているんだろう。
もう、6年も会ってないのに。
向こうは俺のことなんてきっと好きじゃないのに。
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作者名:ましろ | 作成日時:2020年10月1日 3時