かなしみに ページ50
バニラさんの部屋を出てサロンへ。
サロンに着いた途端、不意に体がよろける。
偶然にも、五十鈴さんが近くにいたようで、私は倒れ込まずに済んだ。
昨日の今日でこの状態だ。呆れられても仕方ない、
「またかい、?…症状は?」
『目眩と、頭痛です…』
「顔色も悪いね、考えられるのは…貧血、かな。」
そんなことを言われるが思い当たる節はない。そんなことを思っていると不意に五十鈴さんの首筋が見える。
『美味しそう…』
「美味しそう、?」
不意に出た言葉に自分も驚く。
『ちが、!これは違くて…』
「君の状況が分かるかも、何が美味しそうなのか教えて?」
こんな状況だと言うのに五十鈴さんの顔の良さを改めて実感する。頭もいいから、食生活にも気をつけてそう…この人の血、美味しいんだろうなー、
『血…美味しそう…』
「血、?」
五十鈴さんは驚いたような表情を浮かべる。まぁ、当然だろう。
「現実ではありえない事だけど、なんでもありのデザグラだ、今は信じるしかないね。」
『五十鈴さん、何かわかりました、?』
「正解は、吸血鬼化だ。」
『きゅうけつき、?』
「簡単な話さ。紅い目、貧血、血を美味しそうと感じる…これが当てはまるのは吸血鬼、ってこと。」
言われてみれば、紅い目も、貧血もこの狂った感覚も…創り話に出てくる吸血鬼だ。
『私のバックルがブラッドで…武器を作る時に出てくるあの赤黒い液体は…』
「血、だろうね。そして血を操れるのは…」
『吸血鬼は血と深い繋がりがあるから…』
「正解。上出来だね。」
五十鈴さんは、私の部屋のソファーに私を座らせると、ツムリちゃんに輸血パックがないか聞きに行く。
緊急事態という事で、ラインの件は無視。
「あったよ。輸血と直飲み、どっちにする?」
『輸血の方で…針、刺して貰えますか、?』
「分かった、刺すよ。」
腕にチクリと、痛みが走り、目を開ける。始めてみる光景に少し違和感があったが、仕方ない。
「これで楽になるといいけど…」
『ありがとう、ございました……』
そんな言葉を最後に、私の意識は闇の中へ。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しぃ | 作成日時:2023年9月8日 20時