ただねがうことしか ページ44
その日のサロン。
袮音ちゃん、我那覇さんはお風呂、景和くん、エースはそれぞれ買い物に行っていた。
つまり、五十鈴さんと二人だ、。
気まずいなぁ、なんて考えていると、不意に私の身体がよろける。
慣れたと思って普通の刀を作ったが故の目眩だろう。
自分のスペースはカーテンがかかっているので、誰にも気づかれない、そう思い移動しようとした瞬間、私の意識は闇の中へ。
五十鈴side
僕が本を読んでいると、横の女子スペースの部屋からドサッと派手な音がした。
サロン内には僕と部屋の主だけ。
「物音がしたけれど、大丈夫かい?」
僕は本を閉じて問いかけるが、返答はない。
他に人も居なく、仕方が無いのでラインを超え、彼女の部屋のカーテンをめくる。
視界に移るのは、倒れている彼女と、音の原因であろうハンガーラック。上手く倒れたようで、ハンガーラックは彼女のからだから少し離れたところにあった。
音から推測するに、頭は打っていなさそうだ。
ひとまず彼女を、部屋にあるソファーの上に寝かせた時、
「あ、大智くんAの部屋いってる!」
「アンタ、!」
最悪のタイミングで彼女たちが帰ってくる。
「誤解だよ、この子が倒れたんだ。」
そう言うと2人は駆け寄ってきて、部屋の惨状と彼女の様子から、僕のことを信じざるを得なくなった。
「アンタがなんかしたんじゃないの?」
「デザスターだったら有り得る!」
そう言って僕はあらぬ疑いをかけられる。
「サロンに2人きりなのに、そんなリスキーなことする訳ないでしょ。」
「それもそっか、」
僕の言葉に納得した2人に、彼女の看病を任せて、僕はまた読書を。
「私、看病に必要なもの買ってくるから、Aに変なことしないでね!」
そう言って、彼女は出かけていく。もう1人はトレーニング。
そんなことは関係なしに読書を続けていると、
『あれ…ここ、』
彼女が起きたようだ。
「気がついたかい?君、いきなり倒れたんだよ。」
『あ…ごめんなさい、』
彼女は起き上がり、お辞儀をしてから僕と目を合わせる。よく見ると、彼女の目は赤く染っていた。
「君、その目……」
『目、?』
どうやら彼女は何も知らない様子。僕は周りを見て、見つけた鏡を彼女の前へ。
『何これ…赤い、』
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作者名:しぃ | 作成日時:2023年9月8日 20時