てのひらだけを ページ18
道長さんと、初めて直接話したあの日、彼の優しさに初めて触れた。
とても優しくて、暖かくて。それがぶっきらぼうな言葉に隠れてしまっていた。
ねぇ、道長さん。あの時、なんであんな悲しそうな目をしてたの、?
『奢りますから、一緒に食べませんか?』
「はぁ?彼奴らはどーすんだよ。知らねぇやつと飯食っても気まずいだけだろ?」
『ゆら達はこの後予定があるそうなんで、』
「じゃあ食う。…肉な。」
『はーい。』
道長さんは恥ずかしそうにお肉をリクエストしてきた。そのまま2人で牛丼屋さんへ。高校生のバイト代ではこれが限界だ。
彼は牛丼が来るなり、美味しそうに目を輝かせながら食べてくれた。奢りがいがあるなぁ、。
『道長さん、聞きたいことがあるんですけど』
「んだよ。」
『道長さんのお願いってなんですか?』
ここまで、彼を見てきて思った事は、良くも悪くも子供っぽい。そんな彼の願いがどうしても気になった。
「……んな事聞いて何になんだ。」
『気になったんでw牛丼代として教えてください!』
「全ての仮面ライダーをぶっ潰す力。」
『思ったより物騒だw』
「こんなこと聞くために飯奢ったのかよ。」
彼は金の無駄だぞ。と言わんばかりの顔をしている。
やっぱり、道長さんは優しいなぁ、。
『いや、道長さんと話したかったんです。それと、この前のお礼です!』
「…そうかよ。」
『そういえば、なんで"全ての仮面ライダーをぶっ潰す力”って願いにしたんですか?』
「そんなに俺の事知って何になんだよ。」
『いいじゃないですか!どうせラスボスを倒せば忘れますし。』
また、つい口から出た言葉だった。そしてその言葉に自分自身で驚く。
え?忘れるの?!初耳よ?!
「それもそうだな。誰にも言うんじゃねぇぞ。」
忘れるから、と話してくれたのだと思うけど、私にはそれが、心を開いてくれたように見えた。まぁ、きっと私の思い過ごしだけど。
道長さんの過去は、とても重いものだった。
友人との思い出、デザグラの存在を知ったきっかけ、そして友人の死。
道長さんは、こんなに重いものを1人で抱えていたの、?
彼の過去を聞いてしまうと、自分自身の悩みなんかちっぽけに見えて…。
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作者名:しぃ | 作成日時:2023年9月8日 20時