運命を乗り越えて。 (ページ42)

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ホームランでまだ若干夢見心地だけど、安心はしていられない。
次にはトラウト選手も控えている。
両頬にビンタをして、翔平とグラウンドに向かう。

「凪」

『ん？』

「お前のリード信じてるから。勝つよ」

『！…当たり前』

グローブでタッチして走る。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿みんな信じてくれてる。
それだけで、心が暖かくなったような気がした。

そして始まった、最後の9回。
絶対に抑えるぞと思ったけど、先頭打者を四球にしてしまった。
『打たせてこう』と軽くジェスチャーをすると、翔平は頷いて少し微笑んでいた。

そして次の打者。

打球はセカンドへ行き、

『ゲッツー…！』

あぁ、やっぱりプロ野球選手なんだと実感して迎えたのは

(『マイク・トラウト…』)

翔平と同じチームでプレーしているマイク・トラウト。
強打者だ。
まるで漫画のような展開に思わず心が踊る。

きっちり抑えて勝つんだ。なんて思ったのもつかの間。
気がつけばフルカウントになっていた。

でも、不思議と不安はなかった。
翔平ならやってくれる。
絶対的な信頼こそが
俺たちの取り柄だもんね。

構える。

来い
来い
来い

「空振り三振＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿!!!!!!!!!!!!」

ほら、心配いらなかった。

気がついたら翔平に抱きついてて。

翔平がグローブと帽子投げたとこまで覚えてる。
この景色を、
この姿を、
ずっとずっと覚えていられるように。

目に焼き付け置くんだ。

『翔平…!!!!』

「凪!!!!」

お互い潰れるくらいハグした。