運命を乗り越えて。 (ページ35)

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メキシコ戦ページ35

イタリアが終わったら次はメキシコ。
休む暇なんてありません。
でも俺は今回スタメンじゃないのでベンチで大人しくできます。

メキシコは、今までの試合の様には行かなかった。
朗希も相手の先発も三者凡退が続く。
打よりも投手が大切になってくるなぁなんて考えながら試合を見ていた。
これはどんな試合になるのか、全く検討も付かなかったけど
4回、
試合が動いた。
ツーアウトからまさかの連打を浴び、2人の走者を抱えて迎えた６番。
抑えたい所だな…なんて思っていたのも束の間。

フルスイングの球は高々と上がり、そのままスタンドに吸い込まれて

3点の先制を許してしまった。

すぐにでも同点に追いつきたい所だけど、中々チャンスを物に出来ないまま試合は進んでいき、7回。
健介さんのヒットやら翔平の四球もあり、走者を2人貯めた状態で迎えたのは
4番の正尚さん。
やってくれると信じて居ても、固く結んだ手には力が入る。
大丈夫だと自分に言い聞かせて見つめていると、

正尚さんが捉えた球はライトスタンドへ運ばれて行った。
同点のスリーランでめちゃめちゃ嬉しかった。
でも次の8回。
ヒットが量産され、再び2点の差をつけられてしまった。

8回は穂高さんの犠牲フライで1点追加。
9回の表は大勢さんが無失点に抑えて
いよいよ９回の裏。
翔平が二塁打を放ち、正尚さんの打席の時。
ネクストサークルへ向かう宗が俺に言った。

宗隆｢…パワー、頂戴｣

『…打てる！打てる！打てる！！！！よし行ってこい！』

ニコッとしてからネクストに向かう宗は
きっと色んな事を考えてるんだろうなぁ、なんて考えながら正尚さんは四球。
ランナー、１、2塁。
正尚さんの代走で佑京さんが入る。

＿＿＿＿＿＿＿佑京さんなら、一塁も得点圏だ。

ここで宗が二塁打を打ってくれれば。

ただひたすらに手を握って祈る。
打てる、打てる、打てる、と、呪文の様に心の中で唱えて居たその時。
3球目のストレートを思いっきり振り抜いた。

打球はセンターの頭を超えて、

…翔平と佑京さんは追いかけっこしてる。

帰ってこい、帰ってこい

『帰ってこい!!!!!』

佑京さんは生還。
気がつけば宗に向かって走り出していた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

時間軸バラバラでほんと申し訳ないです…