イタリア戦前 ページ31
いよいよ始まるイタリア戦。
先発は翔平で、スタメンには俺も入っている。
イタリア戦って聞くと大きく聞こえないけど、準々決勝と言われると一気に責任感がくるな、なんてしょうもないことを考えながらアップをしていると、いつの間にか翔平な隣に来ていた。
翔平「緊張してる??」
『んーや、そんなしてないかも』
翔平「嘘だ。いつもよりアップ早い」
『…まじ?』
俺は緊張すると、行動の全てが早めになる癖がある。
言うてみんなと同じだと思ってたけど、ちょっと誤差があったみたい。
『よく気づいたね』
翔平「なんか凪だけぴょこぴょこしてるなーって。今日スタメンだし緊張してない訳ないじゃん」
俺も緊張してるとニコニコしている翔平を見ると緊張も少しほぐれて行く気がして。
『初じゃない?スタメンバッテリー』
翔平「だねーあの日以来」
『…まだ言ってら』
あの日と言うのは、俺が初めて翔平とスタメンバッテリーになった日の事。
つまり小学生の頃という訳だ。
翔平「忘れないよ。完全試合」
『懐かしー。そーだね、完全試合だった』
翔平「何。忘れてたの???」
『わすれてないです』
絶対忘れてた、と2人で話しているとそろそろミーティングするぞーと声がかかった。
勝ち進んだとしても、このメンバーで野球が出来るのはあと数日だと思うと、ちょっと寂しくなった。
『ふーーーー…』
翔平「あからさまに緊張してるw」
『だってぇ…』
翔平「大丈夫だって凪は」
『ん〜…』
ロッカーには試合を控えたメンバーが着替えをしている。
みんな楽そうな顔をしているが、そのなかには緊張も入り交じっているように感じる。
『あ、そーだ』
翔平「ん?」
『忘れてた』
首からネックレスを取り出す。
翔平「…!それ…」
『へへ。喧嘩してたけど、ずっと持ってたんだぁ』
翔平「…俺も」
翔平のシャツから出てきたのは、お揃いのネックレス。
あの時から色も形も変わってない。
翔平「よかった。もしかしたら捨ててるんじゃないかって思ってたから」
『捨てる訳ないじゃん。俺の大事な大事な幼なじみからの贈り物なんだから』
翔平「…やっぱ俺、凪すき」
『おれもすき』
へへ、と笑いながら和やかな空気がそこに流れる。
気が付かなかったけど、みんなこっちみてたみたい。
みんなニコニコしてる笑
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作者名:あかい x他1人 | 作成日時:2023年7月3日 0時