試合後 ページ26
『ふーーーーーー…』
ながーい1日が終わり、部屋で深呼吸をした。
俺は明日、キャッチャーとしてスタメンで出場する。
先発は由伸。明日の朝から少し投げ込む予定だ。
_____いや、緊張すんな。
いくら沢山試合の経験があるとはいえ、今回相手にするのは世界だ。
どれだけ俺たちの力が通用するかもわからない。
自分でも驚くほど緊張していた。
『…素振りしにいこ。』
こういうときは素振りをするのが一番だ。なーんにも考えなくて済むから。
水飲んでから行こーと思い、小さなキッチンに足を運ぶと玄関のドアがノックされた。
『?はーい!』
??「俺。村上。」
『?宗?!今開ける!』
急いで開けると宗がなんだか元気無さげに立っていた。
『どした?宗』
宗隆「…ちょっと素振り付き合ってくんない?」
運命的なタイミングだ。
『イイヨ!』と言って急いで自分のバッドを持った。
_______________
素振りし始めたが、雑談をしていても宗が楽しそうじゃない。
『なんか宗元気ないね?』
どした?と遂に聞いてしまった。
すると宗は1度固まり、言いにくそうに話始めた。
宗隆「最近ほんとに打てなくて。時々寝れないんだ。」
『…え』
宗も悩むことあるんだ…と驚いたが、宗は話を続けた。
宗隆「打席に立つとさ、ああしようこうしようっていろんな考えが頭ん中グルグルしてさ。気づいたら三振でアウトになってる。」
辛そうな顔で話続ける宗をみて、なんとなく分かった。
『怖いの?』
俺も同じような思いをしたことがある。
毎回試合に出る度にみんなからの視線が怖くて、いろんな考えがグルグルして、気がついたらとんでもないリードをしてしまったり。
と思ったら降ろされて「頭を冷やせ」と言われ泣きそうになったり。
わかる。
怖いんだ。
期待が、どうしようもなく。
宗隆「…うん。怖い。打てなくなったらみんな幻滅するんじゃないかって思うと、もうやめたくなる。」
『…そっか。』
あぁ、辛いな。
苦しいよな。
出来ることなら代わってあげたい。
こんな時は、なんと声をかけたらいいんだろう。
『試合終わりさ、俺んとこおいで。』
宗隆「…え?」
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作者名:あかい x他1人 | 作成日時:2023年7月3日 0時