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そもそもあのドア開くのかな、てか4階の階段自体あんまり使わないし人もあの階段の周りにいないけど、もうあそこ以外に古そうなドアはなかったな…となんだかんだ3年間いた学校なので割と校舎のことを無意識のうちに覚えているんだなと思いながら、ドアの前に立ってドアノブを引けばガコ、という音と共に開くのに「やっぱりこの学校はちょっといろいろ適当だな」と笑いながら旧校舎に足を踏み入れることにする。
「お〜…すごい、初めてきた」
ドアを開けてすぐ横にあった掠れた文字で書かれた校長室、と書かれた扉の前に立って「ふかふかの椅子とかあるのかな？」と扉を開けたところで、ところで、松村くんと会ったところに戻る。なんで、ほんとに松村くんが、いるの？
「え…っと」
「な、んで？」
お互いぱちくり、と効果音がつきそうなぐらいに瞬きをさ繰り返して無言、無言、そして、無言。
いやだっておかしいでしょう、普通に。何年も使われてない校舎になんで友達…ではない、顔見知り…なのかもわからないけどとりあえず知ってる顔の同級生がいたらびっくりするし無言にもなる。目の前の松村くんだって手に小難しそうな文庫本を持ったまま座っていたソファーで呆然とこっちを見ているし。
「な、なんでこんなところに、いるの？」
「こっちのセリフでしょ、それは」
入学してから人なんて来なかったのに、とちょっとめんどくさそうで嫌そうな顔になんだかこっちも「はあ？」と言いたくなる。多分1人の空間を満喫していたのであろうが、こっちだって人がいると思って旧校舎なんて来てないんだけど！そう思って「別にこの部屋松村くんのものじゃないけど」とちょっと棘のある声色になってしまった。
それが伝わったのか「いや、ごめん、そういうのじゃないけど」と謝らせてしまった。なのに私は「まあいいけど」許してあげると偉そうな口を叩いて部屋にずかずか入り込んだ。横暴すぎる。「偉そうに…」という小声が聞こえたが無視しておくことにした。
「へー、使われてないって割にはいいソファー置いてあるんだね」
「あのさ、本当になんでこんなとこ来たの？Aさん、だよね」
「座っていい？」
「話を聞きなさいよ…」
どうぞ、と全く聞く耳を持たない私に呆れたように笑って少し横に詰めてくれる松村くんの横に腰を下ろして「別に、旧校舎に行ってみたくなっただけだよ」と今日の授業中のことを話す。
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年12月9日 22時
