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「それはAさんがイケメンと付き合う日はないよって爆笑なの？」とあの後問い掛ければ「捻くれすぎ、映画見て学んだほうがいいよ」と思わぬ言葉に真顔になりもう私も松村くんを無視することにした。なんだよ。
そもそもまあ彼女がいたらこんなとこにいないし、仮にも同級生の異性とふたりきり、なんてことはしないだろう。言葉の端々からそういう中途半端なことが嫌いそうなのはわかるし。じゃあなんで田中と友達なんだよとは常に頭をよぎるが。
「…ねむ」
なんて、そんなことを考えながら見ていたせいか眠気が止まらない。普段頭を使わないせいで…と思いながらも映画を追い続けて、でも眠くて、それで、
「…あれ、」
目を覚ました時にはもう真っ暗だった。やばい！と思って体を慌てて起こして時計を見れば校舎が閉まる15分前だったのに胸を撫で下ろして急いで荷物をまとめる。ていうか松村くん起こしてから帰ってよ！と思いながら手探りで電気をつけようと立ち上がって、それで、何か床に落ちたのに気がついた。
「…カーディガン？」
拾って電気をつけた後に気がついたが紺色のカーディガンが私の手にはある。確かに目が覚めた時に何かかけられていた気はしたけど、と思いながらしばらくぼうっと立っていれば「何してんの」帰るよ、といつの間にか松村くんが横に立っていて「うわ！？」と肩が跳ねる。
「いたの！？」
「なんか前もそんなこと言われたな」
あとそれ返して、と私の手に握られたカーディガンを指さして私のカバンを持つ松村くんに「え、かけてくれたの」と思わず言葉が飛び出す。
「まあ、風邪引かれたらなんか嫌でしょ」
「おお〜…いい人」
「なんか馬鹿にされてるんだよな」
「してないよ」
ありがとう、と返してふたりで小走りで玄関の門を潜れば「映画、どうだった？」と松村くんが問いかけるのに「途中で寝ちゃったからもう一回見るわ…」となんだか情けなくなりながら呟けば「ふ、」と笑われたのに今度は恥ずかしくなった。多分松村くんは映画の途中で寝落ちとかしなさそうなタイプだし…と項垂れていれば「俺途中から見てたよ」と予想しなかった言葉に「え、そうなの？」どう？性格治りそう？と松村くんの顔を見れば「うるさいな…」と口を曲げてしまった。
「…まあ、なんか、Aさんは見た方がいいんじゃないって感じ」
「なにそれ、どういうこと？」
「似合いそうだし」
「似合う？好きそうじゃなくて？」
「…ごめん、忘れて」
なんてハッとした顔はどうしたのだろうか。ちょっと恥ずかしそうで、バツが悪そうな顔は結構可愛く見えた。
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続く (更新停止中)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年12月9日 22時
