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「そもそも友達以前に彼女とかは?いないの?」
「今のご時世そういうこと聞くのはちょっと」
「意味わかんないんだけど…」
何を言ってるんだ、と今日も今日とてよくわからない屁理屈をこねながら長い足を組んでゲームに勤しむ松村くんに問い掛ければそんな答えが返ってきて思わず眉間に皺を寄せた。めんどくさすぎ。
コンビニで勝手に奢らせた昨日、お礼のメッセージを送れば案外可愛いスタンプが返ってきたのにちょっと笑ってしまったのを秘密にしながら今日は旧校舎に誰もいなかったためいつも通りにソファーに座りながら今日は映画を観ていた。
「まあ、いないけど」
「性格にやっぱり難がありすぎるか」
「どういう意味だよ」
「そのまんまでしょ」
悪かったな捻くれてて、と唇をぎゅうと結んでゲーム画面に視線を注ぎ続ける松村くんに「まあ私もいないし元気出してよ」と声をかけるもため息が返ってきただけだった。そりゃ私が彼氏いなくて元気は出ないか、松村くんは彼女がいそうでいないけど私は彼氏なんていなさそうでいないだけだし。
顔が綺麗でも変えられない壁があるのか?とさらに失礼なことを思いながらもちょっと甘すぎるぐらいの恋愛映画を集中して見ることにする。ベタだけどこういうのに憧れるし結局こういのが好きだし。松村くんもこういうの見ればちょっとは拗れた性格が真っ直ぐになるかもしれないよ。
そんなことを思いながら映画を眺めていれば「何見てるの?」という声にタイトルを答えて「松村くんも一緒に見る?その性格ちょっとはなおるかもよ」と画面を突き出すもため息ひとつで無視された。ひどいんだけど、と画面に向き直り私は私でもう見てやるからいいけど。
…あー、いいな、なんか彼氏欲しくなってきた、とあまりに短略的な思考といつから彼氏いないんだ?という現実にため息をついて画面の中の幸せそうな男女を見つめる。そもそも私のタイプってなんだろう、とかこういう映画やドラマ、漫画を見ると考えてしまう。
「ねえ松村くんはどんな人がタイプなの」
「今日はそういう話をする日なの?」
「まあ、恋バナね」
と、自分で言ってて松村くんと恋バナをしている状況があまりに面白くて吐き出せば「おいなんかバカにしてるだろ」とちょっぴり見抜かれた。ばれたか。
「綺麗な子」
「は〜…結局顔か」
「いや別に顔とは言ってないけど」
「いいんだよ、言ってもいいんだよ…」
「何をそんなに項垂れてるんだよ」
まあ私もイケメン好きだし…と本音をぽろりと呟けば「身も蓋もないのやめろよ」と今日イチの爆笑をされた。笑すぎじゃない!?
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作者名:七瀬 | 作成日時:2023年12月9日 22時