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「結構そうかもね」
「え？」
「あ、何でもないよ」
ラーメン忘れてないから、じゃあ、と思わず口が滑ったというように少し照れくさそうに目を伏せた京本くんが今度こそ背中を向けるのに私はぽかんと口を開けて彼の後ろ姿を見送る。
「そ、ういうのは言わないタイプかと思ってた…」
結構くるな、なんか、アレが。普通にちょっとどころかかなり照れるし顔が熱い気がする。京本くんは何とも思ってない、ただちょっとぽろりとノリで言った言葉に照れているようなものだろうけど私は受け止める側なんだから恥ずかしいんだけど…と思いながら帰路を辿る。
あの時の京本くんはどんな顔してたっけ。相変わらず綺麗な顔だったぐらいしか思い出せないや。
「京本くんとは？何もないの？」
「だから本当に何もないんだってば…てかもう1週間以上話してないし」
「確かに」
そんなことがあってしばらく経った。あの京本くんと話しているところを見られてからタイミングを見つけては友人に「京本くんとは？どういうこと？」と詰め寄られているが特に何も言うことがなさすぎて逆に怪しくなっている。本当に何もなさすぎるし言った通りもうずっと話してないからよくわかんない…メッセージも最近バイトがきつくてあんまり返せてないし…と心で言い訳してちらりと遠くの席でペットボトルを煽る横顔を見る。
…てか思ったけど京本くんって彼女いないのかな。え、てか絶対いるよね？ちょっと変だけど話しやすいしずば抜けてカッコいいしな、と思っていれば「…めっちゃ見つめるじゃん、やっぱり」と友人がニヤケ出したので「そんなんじゃないってば」と目を逸らして席を立った。
「…つっ、かれた」
もう布団に潜ることしかできない。シャワーもめんどくさすぎるしもうこのまま寝てしまいたい…けど汗臭すぎて気持ち悪いので立ちすぎて痛い足のままのろのろシャワーを浴びて連勤を恨みながらまだ日が沈みかけている夕方だというのに眠りにつく。明日は学校もバイトも休みだしこのまま気が済むまで寝てやろう…と思って、それで、
「…ん」
次に目を覚ましたのは夕方という変な時間に寝たせいで夜中の1時だった。…しくじった、こんなの昼夜逆転確定だ…とため息をつけば空腹でお腹が鳴るのに「食欲はあるんだ…」と自分の食い意地の張り方があまりに強くて呆れてしまう。何なんだよ本当に。
しかし本当にお腹は空いた。この時間だと当然コンビニぐらいしか開いていないので家の近くのコンビニに行くことにした。好きな時間に好きなものを食べられるのは一人暮らしの醍醐味だよなあ。
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年3月17日 22時
