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いよいよ大詰めだ。リレーは1番盛り上がるよなあ、そう思いながらアンカーのタスキを肩から下げて定位置についてピストルの音を聞く。
あ、やっぱAって足はえーんだな、帰宅部なのにな、ずっと、そう思って走っている姿をぼんやり見つめれば次の走者にAがバトンを渡して、それで、
「…え？」
足が、足首がとんでもない方向に曲がっていた気がする。一瞬顰めた顔は気のせいなんかじゃない。Aと同じエリアにいる人からは死角だけど俺からはガッツリ見えるその角度のAが苦しそうに顔を歪めるのに、思わずAと名前をつぶやく。
そのあとのアンカーも、クラスの賑やかな声も何も入ってこない。明日打ち上げなー！という誰かの声にバラバラと解散していくのをそわそわしながら待ってカバンを引っ掴んで教室を出る。後ろから「えー、慎太郎帰んの！？飯食って帰ろうよ！」と叫ばれるが「ごめーん！俺用事ある！」と手を合わせて笑う。1人で帰るんでしょ、A。誰にも気づかれないとでも思ってるんでしょ。
その後教室に行くもAのクラスの方が早く終わっていたのかもう誰もいない。もう帰った？そう思って玄関に急げば靴はまだあるので玄関で待つことにする。嫌かな、でも1人で帰らせるのはもっと嫌。許して、今日だけ、お願い。
そう思っていれば「なんで」といつかコンビニで見た顔と同じ顔をしたAが足を引きずりながら玄関に来るのに手を取り自転車の後ろに乗せる。最初で最後かもしれないな、後ろにAが乗るのなんて。
しかし無言、無言である。やべえ気まずすぎ！と思うが何を言うわけでもなく漕ぎ続けていれば後ろからすん、と鼻を啜る音がするのに自転車を慌てて止める。
「え！？足！？」
そんな痛えの！？と思い慌てて振り返れば首を振ってぽろぽろと声を堪えて涙を流すAを見れば「違う！慎太郎は全部違う！」と言われた。な、なんだよ、全部って、どれが、なにが、どういうこと？
それからも涙を流し続けるAに苦し紛れに吐いた「泣くなよ」は届いていたのだろうか。でもそのあとの言葉は、言葉は、なんなのだろうか。
「…好きなの、松村くんじゃないよ」
「え？」
「わかんなかった？全部違う、わたしが、私が好きなのは、」
だめだ、なんだそれ。その続きはきっと俺がずっと期待しては諦めて、みっともなく拗らせてもまだ欲しかったやつだ。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
