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「…ごめん、ね」
そう呟くのが精一杯だった。胸が痛くて、涙が止まらないまま流れ続けるのに俯くしかできない。ほんとうに、終わったんだ、消えたい、そう思いながら地面を見つめれば自転車をおもむろに降りた慎太郎が自転車のストッパーを下ろして「A」と私の名前を呼んで目の前に立つのに顔を見上げる。
「…諦められると、思ったんだよ」
「え？」
「北斗なら、諦められるって」
さっきAが言いかけたことは多分、俺もずっと言いたかったやつじゃないの、なんて、涙がそんな言葉共にすっと引くのと同時に今度は困惑が頭の中を埋め尽くす。
北斗なら諦められると思った？何を？さっき言いかけたことって、告白だよ、そんなの言いたかったの？うそだ、そんなわけ、そんな、慎太郎、
「なにそれ、だって髪型も化粧も全部、バイトにいる松村くんのためって、思ってたんじゃ、」
「俺のためなわけないって、思うじゃん」
ただの幼馴染にこんなことすんの？って思った、そのままでいいのにって、焦ったんだよ、なんて素直すぎるのでは？という気持ちと共に「まあ普段から慎太郎は、素直だけども」という気持ちとよくわからない感情が押し寄せる。焦る？慎太郎が、なんで、なんで、そんなこと、
「好きな人が、急に変わったら焦るの！俺は焦った！」
「…え」
もう吹っ切れたのか「好きなの！」と私のことを見て少し不安そうに、でも意思が固そうな瞳にどうしようもなく感情が溢れそうになる。夢？じゃないの？ぱちぱちと瞬きをするしかできない。うそだ、じゃああのネックレスは私のことが好きだったから買ったの？しらない、そんなの都合のいい妄想みたいで、何も言えない。どうしよう、本当なの？慎太郎、うそじゃない？
「…今嘘じゃないって聞こうとした？」
「え、なんでわかんの」
「わかるよ、どんだけ一緒にいると思ってんの」
ていうか嘘なんて俺ついたことあった？と笑う慎太郎に「ないね」とやっと笑うことができた。でも色々隠すのはうますぎるから、ちょっとぐらいこっちに見せてよ。
「…ていうかまだ俺はAから好きって聞いてないけどね」
「え、あ〜…わかる、でしょ、もう」
「でも聞きたくね？」
ね、A、と呼ばれた声が優しい、私を映す目がゆるりと細められるのにぎゅっと胸が苦しくなる、慎太郎、まだ聞きたいことたくさんあるよ、少しずつ聞いてもいいのかな、聞かせてくれるかな。
「…好きだよ、わたしも、慎太郎のこと」
「…あ〜、やば、なにこれ、」
走り回りそう、なんて、いつもの慎太郎と大して変わらないじゃん。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
