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全部終わった。10年以上のそんな恋心も関係性も崩れる時は一瞬だった。大嫌いなんて思ってもないことを言えるぐらいには、今まで口にしようと思いすらしなかったぐらいにストレートな拒絶を示す言葉を口にできたぐらいには私は、何もわからなかった。
ぼんやりとしたまま1人歩いていれば電話がポケットで震えるのに手で漁ればずっと支えてくれていた友達からの着信になんだか今まで分からなかったことやら積もっていた気持ちやらが少しだけ溢れる感覚がする。
「あ、もしもーし！どうだった？」
「どう、だったんだろうね」
「…A？」
今どこいんの？なんて私の一言だけで何かあったのを察したのか電話口の友人からバタバタ音がしてファスナーを上げる音がする。何してんの、と茶化しても「どこいるの、行く」とだけしか返ってこない。やめてよ、無理だ、あふれる、全部全部こぼれる、ゔ、と一度喉の奥から声が漏れたらもう止まらなかった。
「だめだった、全部、ダメになっちゃった」
大好きだったのに、すきなのに、どうすればよかったのかなあ、好きって、言うのすらダメだったよ、そんな私の情けない声と共にアスファルトにぽつぽつと雫の影ができる。電話を繋ぎながら送った位置情報は偶然にも友達の家から近いせいもあり、バタバタとすぐに走る音が聞こえた。「A！！」という掠れた声に顔を上げれば上がった息の友人に抱きしめられて、もうそこからは何も覚えてない。慎太郎のこと、どう思えばいいのかわからない。
次の日、パンパンに腫れた目を見た親が何があったかも聞かずに「休むって電話しとくよ」みんな休んでいいって言ってるからゆっくりしてなよ、と部屋に戻してくれるのに甘えてベッドに潜り込んで目を伏せる。今日はバイトもないしよかったな、友達にお礼と「今度詳しく話すから」とだけ送れば「わかったよ、私はAのことだけ信じるよ」と返ってきたのにまた泣きそうになりながら布団に潜る。
みんな今頃朝のホームルームかな、今日慎太郎はどんな顔してたんだろう、大嫌いって言った時の顔、どんなだったんだっけ、薄い唇を一直線に結んで私の顔を見ていたその顔は、何を思っていたんだろう。今となっては何も、私に考える資格はないけど。
でもずいぶん長い恋が終わった。合コンとか行っちゃおうかな、とりあえず好きなものでもたくさん食べちゃおうかな、でも1人じゃつまんないな、誰か、
「…あ、もうダメなんだった」
いつもの癖で慎太郎のトークルームを開いていた。もう誘えない、楽しそうなトークルームの履歴が、全部羨ましくって、恨めしい。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
