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「…なんか嬉しそうかも、なんで?」
「やっと認めたわ、好きじゃん」
「それはないと思うけど」
「ないのか…今日粘ってみたけどやっぱりAに好きな人はいなかったわ」
「や、ほんとにね…」
そう言ってなぜか悔しそうにする友達になんなんだと思いながら私が投げ捨てた携帯を拾って渡してくる友達から携帯を受け取って2人のそばを少しぼうっとしながら歩く。
てかさっきの人マージでイケメンだったと思うんだけど、それなーと数ヶ月前私の彼氏に一瞬なっていた(ことになっている)人とは全く気づく様子がない友達が話しながら歩くのになんだか少しふわふわした気持ちになりながら適当に相槌を打っていれば「ねえ連絡先知らないの?」話してみたいわーと1人が笑って、それで、
「…北斗くんはだめ」
「え?」
「…え?」
…あれ?私今なんて言った?友達が話の流れで連絡先聞いてきて、それで、知らないのって聞かれただけにすぎなくて、こんなの今までだってたくさんあった。連絡先ぐらい教えればいいのに、わたしは、
「…あれ?」
もう訳がわからなかった。なんで北斗くんはダメなんだろう、これが樹だったら?多分一瞬で教えていた。これがクラスの男子でもそうだった。でも北斗くんはなんか嫌で、だから、ついダメだと言ってしまった、でもこれって、さあ、いやその、そんなことないって、思いたくて、
「…ねえ、もう好きだよそれ」
「A、今すっごい可愛い顔してるもん」
そう言って優しく笑う友達の顔を見て自分の顔がものすごく熱いことに気がついた。
「…こ、こんなはずじゃなくて、その、ほんとに、」
「わかるのって意外と一瞬だったりするんじゃないの」
大丈夫、可愛いから上手くいくよと今まで私をからかって遊んでいたとは思えない友達と気づいてしまった自分の気持ちに混乱して仕方ない。
「…私って好きな人いたんだ」
「いたんだね」
うちらもびっくりしてんのにAが1番驚いてどうすんのと笑う友達に手を引かれて「話、聞かせてくれるの待ってる」という言葉に黙って頷くのが精一杯だった。
ねえ北斗くん、どうしよう。明日から勉強となりでできるかな、変だったらごめん、飲み物とかひっくり返すかも、目とかもう合わせられないかも、だって私さあ、北斗くんのこと、好きだったみたい、なんだもん。
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七瀬(プロフ) - 朱音さん» ありがとうございます!ヒロインごと好きになって頂けて嬉しい限りです!かなり話数もあるのに最後までお付き合い頂いて本当に嬉しいです…!他のお話も時間がある際にでも宜しければご覧ください。コメントありがとうございました! (2023年2月7日 20時) (レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
朱音(プロフ) - 大好きです!愛されるべきヒロインな夢主と、図書委員の北斗くんが良すぎて一気に読み切ってしまいました、ピュアピュアな夢主と拗れてる北斗くんをナイスアシストしすぎた樹に助演男優賞をあげたいです。他の世界観も読みたくて、他の物語も楽しく拝見させて頂きます! (2023年2月6日 1時) (レス) @page49 id: 5dbaf83bc8 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬(プロフ) - そぼろPさん» 最後までお読み頂きありがとうございました!お楽しみ頂けて嬉しい限りです!ありがとうございます!最後までお楽しみ頂けていたら幸いです。次回作もお楽しみ頂けましたらありがたいです! (2023年1月2日 22時) (レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
七瀬(プロフ) - akikumaさん» 最後までお読み頂きありがとうございました!最高のお言葉頂けて嬉しい限りです、、!次回作までありがとうございます!よろしければお楽しみ頂けましたら幸いです! (2023年1月2日 22時) (レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
そぼろP(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく拝見させていただいていました。終わり方もとてもすごく好きで、全てが好きな作品でした。次回作も楽しく読ませて頂いてます! (2023年1月1日 20時) (レス) @page46 id: cdebdf4adb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七瀬 | 作成日時:2022年12月4日 22時