こじつけプロローグ

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「じゃあ、わたしはここで」
「うん」



　明日当番サボんなよ、と帰り道別れようとした時に言われたものだから「フン、誰かさんよりも先に来て掃除とかもしちゃおうかな」と踵を返してやる。

　合コンはつまんなかったけど北斗くんと遊んだのはなんだか楽しかったな。変なとこから始まった縁だし形式的には何故か元彼になってしまっている(まあ事故だが)しなので友人にはまだ仲の良いことは黙っておこう、私が話す前に樹が「え？Aと北斗復縁したのかって？元々付き合ってねえって！Aが彼氏欲しすぎてその辺歩いてた北斗巻き込んだだけ！」とかいって爆笑しなきゃいいけど。



「あ、北斗くん」
「なに」
「今日合コンつまんなかったけど北斗くんと遊んだの楽しかったよ」
「…あー、そう」
「うん、また明日ね」



　そっちこそ明日来てね、と言って今度こそ背中を向けた。楽しかったって伝えたらまた遊べるかな？と期待を込めて彼に本音を言ってしまった。

　でも家に帰ってから数ヶ月前に交換したきりだった連絡先に「俺も結構楽しかったかもね」とよくわからない返信が来ていて「なにそれ、楽しかったって普通に言えば？」と返しておく。もう話し始めてからだいぶ経つから段々わかってきたけど北斗くんのそれは結構楽しかった時のやつでしょ。



「おい」
「なに、樹か」
「現文貸してくんね？」
「いいけど、汚さないでね」



　次の日、北斗くんとカップルに見られたおかげでもらえたクッキーを自分の席で頬張っていれば後ろから声をかけられてもごもごと口を動かしながら振り返れば教科書を樹が催促しに来ていた。樹と話してるとこ見られるとめんどくさいからあんまり学校では話しかけないで欲しいんだけどな。



「おーありがと、え、何食ってんの」
「クッキー」
「…へえー、え？ちょ、見せてよ」
「なに？あげないから」
「いらねえ別に」
「あっそう」



　こんなに美味しいのに見る目ないのな、と返してハートのクッキーを口に運べば何故か私のクッキーを見つめて動かない樹に「そんな見てるならひとつあげようか」と渋々口を開こうとしたがその言葉は「お前昨日合コン終わって北斗と帰ったときなんかした？」という樹の言葉で遮られてしまった。




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