こじつけプロローグ

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　そんなことを悶々と考えながら部屋の扉を開けて自分の席に座れば「遅かったね、一緒に歌おうよ」となぜか勝手に曲入れられてるわマイクは渡されるわ、なぜか肩がぶつかる距離で歌は歌われるわでもう限界だった。流石に帰るぞ、そう思って友達に「ごめん！バイトのヘルプ至急でお願いされて！」と言えば快く送り出してくれたのに安心しながら荷物をまとめる。

　一応樹にも連絡してみる？別に返信来ないと思うけど…と思い「今帰るところ」と連絡してみれば意外にもすぐに既読になり「おっけ」と返ってきた。珍しい、返信早いなんて。

　いやでもどっと疲れたな…やっぱり慣れないことなんてするもんじゃないんだ…と今日何度目かもわからないため息を吐いてとぼとぼ歩いていればぼんやりしすぎていたのか誰かにぶつかってしまった。



「あ、すみませ…」
「Aって人にぶつかる癖でもあるわけ？それとも今日もぼんやりしてたの？」
「は？なんで北斗くんいるの？」
「樹に引きずられて合コン来たけど帰るところ」



　しかもなんか受付のとこでしばらく待ってろって言われたしそしたらあんたが来るしよく分かんない、と窓の外を見ながら淡々と話すのに「クッソあいつ連絡するわで笑ってたのこういうことか…変にくっつけようとするなよ…」と今度会ったらキレておこうと思いながら「じゃあ私はこれで」と北斗くんの横を通り過ぎようとした、のに。



「俺も帰るんだけど」
「？いや、うん、え？」
「…駅、同じじゃないの」
「同じだろうね」
「じゃあ普通…あ〜…なんなんだよ、くっそ」



　といきなり髪をかき上げて下唇を噛む北斗くんに「あ、もしかして一緒に帰ろってこと？」と私は聞いてみる。



「…方向同じなだけでしょ」
「北斗くんってさあ」
「なんだよ」
「結構私のこと好きだよね？」
「…別に」



　やっぱ1人で帰ればよかった、と今度はげんなりした顔をしているが口元は少し綻んでるのに「素直じゃねえ〜」と私まで口元が綻んでしまった、意外と可愛いとこあるんだな〜とか思ったけどこんなん言われるのマジで嫌そうだからやめとこ。




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