[アメコミ] 瓶で殴る。 [短編集] (ページ22)

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面白さ"ゴッサム"初期アーカム組ページ22

「やっぱり何の罪もない人々を殺すなんてどうかしてる。」

それまでただ一点を見つめ黙りこくっていた彼女がようやく口を開いた。
と思えば、何とこの楽しい喜劇をどうかしている、と否定し始めたのだ。

「…ハァ？」
「だってそうでしょ。あの人達はただあそこで働いていただけだったのに。よくあんな酷い事ができたわね。」
「ハハァ、可愛いお嬢ちゃんには刺激が強すぎたみてぇだな？」
「黙れグリーンウッド。気持ち悪い。アンタの声なんか聞きたくないのよ。」
「騒がしいな、揉め事か？」

若干面倒くさそうにこちらへ向かってくるギャラバンの姿に彼女が舌打ちをした。
ニッコリと笑って「君は疲れているんだ、甘い物でも食べて落ち着いたら良い。」とドーナツを勧める彼を睨む。

「お気遣い痛み入りますわ。だけれど生憎、甘い物は苦手なんですの。ドーナツなんてガキが食う物よ。ミルクだってそう。バカにしてる訳？」
「そうカッカッしないでくれ。…落ち着きの無い人間は嫌いなんだ。君もあの彼と同じ所に行きたいのかい？」

ん？と首を傾ければ途端に黙りだす彼女。だが相変わらず視線で殺せそうな程睨んではくる。
「さて、君達には演出技法を学んで貰いたい。」と本題を切り出せばすかさずジェロームが食いつく。

「彼が興味あるようだし、彼に任せれば良いんじゃない。ねぇ？」
「いや、そういう訳にもいかない。まずはアーノルド、君がやってみてくれ。」

結果はわかりきっていた。
次にグリーンウッドにもやってもらったが、まぁ一般人と大差ない。
彼女の方へ視線を向けるが「ふざけるな」と言わんばかりに睨まれたので飛ばしてジェロームへ。

途端、彼は立ち上がりまるで演劇俳優の様な振る舞いと声で見事な演出を完璧にこなしてくれた。
彼しかいない、そう確信した程に。

「凄いな、最高だ。」
「…どこかで習ったの？」

彼がカップに紅茶を注ぎ始めた時、邪悪な高笑いと共にムチを振るう音、当たる音が部屋中に響く。
箱を被った男が必死に逃げているが、彼女らはお構い無しに追い詰める。

「あらAチャンじゃない！元気ィ？」
「バーバラさん…」
「さん？やめてよねェ！アラ、どうしてそんな悲しそうな顔してるの？笑った方がいいわよ。」

「楽しくないのに笑える訳ないでしょう。」

彼女がそう呟いた瞬間、まるで何かジョークでも聞いたかのような大爆笑が部屋中に響いた。