蛙飲み込む蛇2匹:スーパーマン バットマン ページ2
「ん、あれ?私貴方に会ったことありません?あれあれ?ねぇ、一昨日ぐらいに…」
しまった。
「いや、人違いです。」と小さく呟きながら目の前の富豪を睨む。
だが彼も予想していなかったようで、否定された今でもジロジロと顔を見回す彼女に引き気味な目線を送っている。
おととい、確かに僕は彼女を強盗から救った。
ジャスティス・リーグのスーパーマンとして。
強盗くらいならバットマン1人で足りる筈なのに、彼は[弾除け]が必要だったらしく2人で行動していた。
やけに人の顔を見詰める子だとは思っていたんだ。
だけどまさかこんなにも早く会うなんて思ってもいなかった。完璧な油断だ。
「いや、いや、会った事ありますよ。絶対ある。人違いなんかじゃなく…えっ、まさかスーパーマぅぐっ」
「ちょ…っと失礼。どうするんだブルース。人目があるぞ。」
「…私が介抱として彼女を連れて行く。そこで諸々の処置を取ろう。君、くれぐれも騒ぐなよ。」
「っは、え、うそうそうそ、すご!私脅されてる、あれ、という事はMr.ウェイン。貴方はバッゥンムグ?」
名前の部分は口を押えなんとか防いでいるが、彼女は遠慮無しにそのまま喋り続ける。
ブルースでさえも呆れたように首を傾け、「今はまずい。」と目で訴えてきた。
目で頷き、一旦彼女の口から手を離す。
と同時に首根っこを掴んで思いきりこちらへ引き寄せ、低い声を作り耳元で囁く。
「口外すれば命は無いと思え。」
サァ、と彼女の顔色が一気に青くなる。
面白いくらいの変わり様にフッ、と笑ってしまった。
僕が首元から手を離した瞬間、彼が彼女の腰を掴みするりと自分の方へ向かわせた。
僕と同様、耳元で
「君は今から10分後、酒を飲み過ぎて気分が悪くなる。」
「な、何を、」
「口答えするな。…そして、たまたま通り掛かったプレイボーイで有名なブルース・ウェインに介抱と称して別室へ連れて行かれる予定だ。意味は分かるな?」
言う通りにしなければ殺す。
最後にそう吐き捨てて彼女から手を離し、またどこかへ行ってしまった。
最初の威勢は何処へやら、カタカタと身体を震わせて僕の方へ視線を向ける彼女。
クスリと笑ってその場から離れる。
わざわざ蛙から蛇に睨まれに来るなんて、とんでもないバカなんだろうなぁ。
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岡P(プロフ) - 初めて読ませて頂きました。どのお話もとても面白く楽しませてもらいました。これからも素敵な作品楽しみにしています。 (2022年3月9日 21時) (レス) id: eaa010ae17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2020年4月30日 21時