▲忘れさせて os ページ12
＊「旅人」の続きになります。
『戻ったでー』
お使いを済ませ、自国へ戻った。
部屋に戻らず、すぐに報告へ向かった。
「おーおかえり。あん時の雨、大丈夫やったか？」
『ちょっとした事があったが大丈夫』
その時にあった彼、オスマン。
あの洞窟から彼の国は遠くはない。
だから、彼といる時間は短かった。
「そうか。あ、帰ってきたばかりなんだが頼んでもええか？」
『ええよ。何？』
「数日後に我々国と外交する事になっとる。そん時Aに護衛を任せてもええか？」
これは運命なんか。
でも、私は彼に嘘をついてしもうた。
だから会う権利なんとない。
そう。私はオスマンともう1度会うことなんて許されないんや。
『……ごめんやけど、うちは護衛なんて無理や。大人しく訓練したりしたいねん』
「そうか…すまんな…」
これでいい。
彼……オスマンに会ってしまったら、私は耐えられなくなるかもしれない。
だから、これでいいのだ。
ーー当日ーー
入口辺りが少し賑やか。
きっと到着したのだろう。
「あの、私達は何をすれば…」
『そうやね……今度の外交国の把握や筋トレとかかな』
「ありがとうございます！」
この日私に任された仕事。
それは、城にいる人達の指示。
邪魔にならんようにするためらしい。
『うちは部屋に戻って仕事するね。なんかあったら言いに来てな』
「了解です！」
「……？…」
…近くで声が聞こえる。
何かあったのだろうか。
「あの、少しよろしいでしょうか？」
『はい。どうかされまし……た……か…』
何故、何故だ。
外交をしているはずの彼が、何故ここにいる。
オ「私は我々国の外交官です。案内をされていたのですが、案内人とはぐれてしまいまして…」
『が、外交官殿。どちらへ向かわれようとしておりましたか？』
オ「……おそらく、部屋へ戻る所だったと思います」
『私がご案内致しましょう』
オ「助かります。……ところで」
『はい』
オ「貴女、どこかでお会いした気がするのですが…」
バレてはいけない。
彼と別れる際に言ったあの言葉。
返事を聞く前に逃げた。
…聞きたくない。
『さて、気のせいでは…』
「あ、オスマン外交官様！…え、A様！？…本当に申し訳ございません！！！」
オ「え…A…なん？」
バカ部下。
うちの努力を返してよ。
逃げようと思っても、オスマンに手首を掴まれて逃げれないじゃないか。
…これ以上、好きにさせないでおくれ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
