バレンタイン戦争前 zm&syp(リク) ページ32
*
皆が外で体を鍛えてる時間、私はキッチンを借りてお菓子を作る。
バレンタインまであと少し。
不味いと言われたくないから練習しているのだ。
「Aさん、何してるんすか」
『お菓子作り。バレンタイン近いからね』
「…そうでしたね」
訓練を終えたのか、ショッピ君はキッチンにやってきた。
隠れて作ってるわけではないので、作る姿を見られても何も思わない。
…まぁ、文句言われたら一発ぶちかますけど。
「作り終えたやつってありませんか?」
『トリュフなら冷やしてるよ』
「お腹すいたんで食べていいっすか?」
『冷えてたらお好きにどうぞ』
ショッピ君は冷蔵庫を開け、冷やしていたトリュフを取り出して口に入れた。
その間、私はボウルに入ってる生地を混ぜる。
「ん、美味しいっす」
『ならよかった。それは練習用だから好きなだけ食べていいよ』
「あざっす」
ショッピ君がいけるなら、チョコが大丈夫な人はトリュフでいっか。
他も練習しようって思ったけど、別に1人1人別のにしなくていいよね。
「あ、そういえば」
『ん?』
「Aさんってゾムさんに何あげるんすか?」
『ゾム?ゾムはチョコ苦手って聞いたから、クッキーにしようかなって』
「ふーん…」
『え、ゾムってクッキーダメだった?』
「クッキーでいいと思いますよ」
よかった、クッキーがダメなら何あげようかと焦ったよ。
1人で安心していると、ゆっくりとショッピ君が私に近づいてきた。
「あと、本命は誰にあげるんすか?」
『ほ、本命…?』
「ゾムさんに前から好き好き言われてましたけど、まさか本命はゾムさんだったり……」
『いやいや、本命は誰でもないよ!?』
確かに前からゾムに告白されてるけど、付き合ってないし恋愛方向の好きでもない。
だからと言って、他に好きな人がいるわけでもない。
「なら、本命チョコ、俺にくださいよ」
『…え』
「前からずっと好きなんですよ、Aさん」
ショッピ君は私からボウルを取って机の上に起き、私の手を握る。
…待って待って、ちょっと状況が掴めない。
「ゾムさんに負けないぐらい好きです」
『え、えぇ…?』
「本当はホワイトデー辺りに言うつもりでしたけど、やっぱり好きな人からの本命は欲しいなーっと」
『まさか、それを言うためにここに来たんじゃ……』
「さぁ?どうでしょうね」
ショッピ君はニコニコしている。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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