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見つかってしまった、こんなに早く。

「…お兄さん、私と遊びたいの?」

彼女は私を助け出そうとしてるのか、トントンに色目を使った。
いつもの男なら魅力され、彼女のご飯となる。
だからそうなると思ってた。

「ごめんな、俺はA以外に興味無いんよ」
「…っ、なによそれ」

予想外の答えにより、彼女は顔を顰めた。
トントンは私を抱き寄せ、耳元で聞いてくる。

「城の生活に嫌気がさしたんか?」
『…トントンには関係ない』
「ええねんで?…ここでその人に見せながらヤっても」

それだけは嫌だ。
彼との行為はものすごくキツくて、他人に見せれるものでは無い。
それに彼女に見られるなんて、絶対に嫌だ。

『嫌、絶対にやだ……!』
「じゃあ素直に帰ってきてくれるか?」
『分かった、分かったから!!』
「ん、偉いなぁ…」

トントンは私の頭を撫でた。
今の顔は優しいけど、城に帰ったらきっとお仕置きされる。
私はこれからの事で怯えていると、彼女はトントンに問うた。

「……貴方、Aちゃんに何をしたの?」
「どういうことや」
「昔のその子はこんなに静かじゃなかった!私みたいに強くて、人間を見下して……彼女は吸血鬼の中の吸血鬼だったのに!!!」

…そんなふうに見てくれてたんだ。
それでも今は、もう、無理だ。

「せやなぁ……俺好みにするために色々したで」
「…例えば?」
「俺だけを見させるために躾したし、血以外の液も沢山あげたし……まぁ、愛を与えたな」
「愛……」

確かに彼から沢山もらった。
……でも、それが愛だとは気づかなかった。

「お前も吸血鬼やけど、そういう奴に出会うんちゃう?」
「は、そんなわけ……」
『…トントン、そろそろ太陽が』
「そうやな、帰るか」

トントンは私に布を被せ、私を担いで走った。
その際、彼女から私の呼ぶ声が聞こえた。
でも、私は聞かなかったふりをした。

ーーー

「で、なんで外出たんや」
『その…手伝いで…』
「俺以外の血飲んだんやろ?ほら、口直しにさっさと飲めや」

分かってる、これが少し異常だと。
それでも私は少しだけ、安心している。
トントンに血を飲まされ、異常に愛されるこの時が好きなのかもしれない。

『トントン…』
「なんや」
『…愛、教えて』
「……たっぷり教えたるわ」

そう言って抱きしめてくれる。
…結局愛が分からなくても、この気持ちはきっと彼と同じ。

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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅(ろう) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月5日 18時

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