まるで私は os ページ13
*
天井からぶら下がってるシャンデリア。
キラキラでふりふりのドレスを着た女性達。
机に置かれているグラスに、その中に入っているお酒。
どれもこれも、今の私には高価過ぎる。
「ぜひ、楽しんでください」
総統様はそうおっしゃっていたけど、私の目的は貴族の方に媚を売る事ではない。
私の目的、それはあの方をもう一度見ること。
『…魔法よ、私に勇気を』
私は貴族の子だったけど、今はただの召使い。
まるで、童話のシンデレラみたいな私。
数時間前、魔法使いさんは私に魔法をかけた。
「貴女には幸せになって欲しい」と、言いながら。
『……あ…』
辺りを見渡していると、会いたかったオスマン様を見つけた。
しかし、オスマン様は他の女性と親しげに話してる。
それも彼女は私の義理の姉だった。
『やっぱり、私じゃ無理か…』
魔法が解ける前に帰ろう、そう思った時、誰かが私の肩を優しく叩いた。
振り返ると、見覚えのある男性が立っていた。
「お嬢さん、相手おらんの?」
『…お恥ずかしながら、私は人と話すのが苦手でして』
咄嗟についた嘘。
嘘に気付かず、男性は私に話す。
「じゃあ僕と一緒におろうや!」
『え?』
「僕やったら話し相手になるし、人も寄ってこうへんよ?」
そう言いながら、男性は私の腰に手を回した。
突然の事で私は慌てることしか出来ず、ちょっとした抵抗をしても無視される。
「な、あっち行こうや」
『あの、やめてください…!』
「ええやんええやん!」
怖い、どうしよう、助けてお父様。
…こんなことになるなら、こんな場違いな所に来なければよかった。
私は一生、召使いとして生きた方がマシだ。
男性に無理やり連れていかれながら、私はずっとそう思った。
「いやぁ、お嬢さん可愛ええなぁ」
「……大先生」
「ん?なんやマンちゃ…ん……」
大先生と呼ばれた男性は、振り返ると顔を青ざめた。
ゆっくり私も振り返ると、そこには笑顔のオスマン様がいた。
「その子、離してくれへん?もう時間が無いんよ」
「よう分からんけど…まぁええよ」
『オスマン、様?』
「おいでAちゃん」
男性の手が離れ、私はオスマン様に手を引かれてその場から離れた。
バルコニーに出ると、オスマン様は私の手首を力強く握った。
「魔法が解けても離さんからな」
『なぜ、それを……』
「…秘密」
ゴーンゴーン、と12時を知らせる鐘の音が鳴った。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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