【企画小説】忘却の街.third

103:抜け出した。 ページ5

「よいしょっ...」

まだ辛いけど迷惑かけるだけだからと抜け出した。

一枚のメモを置いて。

『助けて頂き、ありがとうございました。

　迷惑をかけるだけなので出ます。

　また、機会があったらよろしくお願いします。

　ーーーーーーー』

この先は破いてしまった。多分読まれることはないだろう。

淡い願いだ。押し当てだから、関係ないことだ。

過呼吸の間に血も吐いてしまった。

メモ用紙についてしまったのは癪だが出てしまえば勝ちだろう。

呪いがまとわりついたまま。心の底にこびりつき始めて...いや、もう遅いか。


本心なんて言えないし、許されないもの。


私なんかいなくてよかったなぁ...


歩くのがつらい。

動くのも、何かをするのが辛い。

何時ものことだ。


でも、心がズキズキ痛む。

この感情、なんだったっけ...

どんどん、元に戻っている気もするし、進行もしている気もする。

現に、髪の色も染まってるし。


大分離れたかな、いや。そうでもないか。


誰かと仲良く話したい。

独りは寂しいな。と改めて思うようになった、今。



『ーーーーーーーー

　できれば、あなた方と、仲良くなりたい。

　私は、皆の傷は、捌け口になることは出来るから。

　この街には、訳ありの人たちが集まっているのでしょう？


　少しずつ皆で進めたらうれしいな。

　街から出られなかったから、憶測だけど、許してね。

　

　エーヴィ。』







　私はまた繰り返しそうだ。


　逃げる私を許してね。


　リス助がいなくて、更にややこしくなったのは...言うまでもない。


　協会に残ってしまった。


　まぁ、何時ものことでもあるから、と思い気にしなかった訳でもない。

　探そう。


　リスを通じて、知り合うことが多くなるのは、いや、人付き合い？

　することになるとは、一切思ってもいなかったのだった。




「げほっ...」

　また、血を吐く。過呼吸は収まったが無理して動いた結果だ。

　まだ、続いているが気にしない。


　協会へ、もとの部屋に忘れものと、リスを取りに戻った。


　「...ぃ、げほっ...けほっ、いたっ、リス...」


その後は街巡りにゴーです。







　

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