【企画小説】忘却の街.third (ページ34)

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131:機械の少年ページ34

(ニキside)

誰かいないかと探していた俺の目的は、すぐに果たされた。見つけたのは、頭にネジの刺さった奇妙な少年だった。
彼は、エンというらしい。そして、機械だと言った。俺も、自分の名前と鳥人だということを言った。

「そうなんだ!じゃあ、飛べるの?」

俺は軽くうなずきながら、一応と答えた。

「すごいね。僕は地上に居ることしかできないから…。空の景色を再生は出来るけどね。」

ああ、機械だからか?
そんなことを言いそうになった自分を責める。もし、それでエンが傷ついたら?離れたら?失ったものが元に戻らないと知っているのに、そんな迂闊なことはできない。こいつは、見ている限りでは、一人で抱え込むタイプだ。そういう奴は、慎重に扱うべきだと知っている。丁寧に、傷つけないように…。

「ニキ…?」

エンの呼ぶ声で我に返った。エンは、こちらを不安げに見つめている。

「何でもない。ちょっと考え事をしていただけだ。」

そう言って微笑んで、エンの頭を撫でた。柔らかい綺麗な髪だ。機械とは思えない。エンは、安心したようだ。

「あ、着いたよ。」
「あれか。」

協会があった。

「入っても大丈夫か?」
「うん。多分。」

その言葉を聞いて、協会の扉をゆっくりと開けた。おそらく、誰か1人くらいは居るだろう。

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