【企画小説】忘却の街.third

116:全然楽しいことじゃない ページ18

和鎖side

僕は教会の方へと歩いていた。今日はなんだか楽しいことが起こる雰囲気な気がした。

キイッ＿＿

見渡す限り特に人影は見えなかった。

「なーんだ。誰もいないんです…か？」

そう思った瞬間なんだか重症な女の人を見つけた。
息はしているが意識があるのかわからない。


「だ、大丈夫ですか？」

軽く揺するが返事はない。

「手当くらい…しなきゃ、だよね？」


でも人と関わるのは嫌だ…またあんな風に捨てられるくらいなら誰も好きにならないほうが傷つかないんだ。

人と関わったら僕は相手を好きになってしまう。僕は楽しいことか好きだから…人と関わるのは楽しいから…

「意識、ないし…手当だけ…なら…」

僕は持ち合わせのハンカチで傷口を押さえてから教会にあるはずの包帯を探し、包帯を巻こうとした。

が、


「女の人…脱がせていいのか…？」

いやでも脇腹だし…

「この際不可抗力ってことで…！！ごめんなさいっ。」


僕はなんとか女の人に包帯を巻くことができた。


まだ目、覚ましそうにないし…少しだけなら近くにいても…大丈夫かな…。


そうして僕は壁にもたれると急に襲ってきた眠気に負け、ゆっくりと意識を手放した。

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