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113:思わずやってしまうこと ページ15

(シルヴェスターside)


「ふぁ……」


ぼくは欠伸をして伸びをする。木陰で寝るのは気持ちがいいけど、朝露がついちゃうのが難かな。体を振って朝露を落としたぼくは周囲の匂いを嗅ぐ。

む。血の匂いがする。それに金属の匂いも。誰かお肉でも切ったのかな。だったら分けてもらえるかも。

ぼくは尻尾を軽く揺らして歩き出す。肉球から伝わる地面の感覚も良い。
少し歩いて教会の近くに行き、問題の場所の匂いを嗅ぐ。……お肉じゃない。人間の服の匂いがする。


(うーん、教会に行ったら何か分かるのかなぁ)


ぼくは方向転換して教会に向かう。あ、扉が開いてる。誰かいるのかな?
そっと頭だけ扉から覗かせて中を見る。ぐるりと見渡すと人の姿。女の人かな。じっと彼女たちを見つめていたぼくは抱えられている女の人に釘付けになった。


「クゥンっ……!」


猟銃だ。あんな怖いの持ってる人が教会にいるなんて。やだ、撃たれたくない。
ぼくは踵を返して走り出す。心臓がバクバクいっている。怖い。あの匂いがしない所まで逃げないと。

森に逃げ込んでもぼくの足は止まらない。息も切れてきた。もうそろそろ休みたい。
そんなぼくの気持ちを分かっていたのか、目の前が開ける。目の前にはきらきら輝く泉。


「はっ、はっ、はっ」


ぼくは泉に口を付けて水を飲む。おいしい。ようやく人心地ついたぼくは周りを見渡す。
あれ、茂みの方に白い翼を持つ人みたいなのがいる。なんか頭の上に丸いのが浮かんでいるし。気になる。

ぼくはあまり音を立てないようにそいつに近づく。匂いからして人間じゃないみたいだけど、始めて嗅ぐ匂いだな。なんなんだろ。

そいつのすぐ後ろまで行ったぼくは見上げた。白い翼は綺麗だな。まるで白鳥みたい。色は多分ぼくの毛の色と大差ないんだろうけど。


「クゥン」


茂みに分け入って行くそいつに呼びかける。とりあえず尻尾も振って。そうしたらきっと警戒はされない。ぼくがそれを出来るのも相手が武器を持っていないから。
あれ、もしかしたら人型になった方が良いのかな。まぁ、いいや。

114.寄り道と新しい出逢い→←112:奪う事しか



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零兎(プロフ) - 小説読んであらすじ見てきますー (2017年8月1日 21時) (レス) id: 377a049b03 (このIDを非表示/違反報告)
零兎(プロフ) - [壁]_-)お久しぶりです。誰か居ますか? (2017年8月1日 21時) (レス) id: 377a049b03 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 更新します! (2016年7月31日 21時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
神楽柚希.@じゅんは我の彼氏.(プロフ) - 猫田あみいさん» 教えてくださりありがとうございます…!!タイトル入れてきますねッ. (2016年5月31日 23時) (レス) id: f95df422fb (このIDを非表示/違反報告)
猫田あみい(プロフ) - 神楽柚希.さん» タイトルが抜けてますよヽ(´o`; (2016年5月31日 20時) (レス) id: 26aa867e92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りあ x他6人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月23日 0時

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