【企画小説】忘却の街.third

111:脇腹いたい ページ13

息が上がって、目の前が霞んだ
横腹に刺さったサーベルを一気に引き抜き、腹を抑えた。
一応不老不死だが、痛みはあるのだ。
どくどくと溢れる朱色の液体には目もくれずに、俺は走った
レネス＝アルビドゥスは、追われているのだ。
いつものように、標的を定めて撃つ、それを気づかれ、負われている。
奥歯を噛み締め、ただ走る。
いきなり霧ががった場所に出て、安堵したと同時に、意識が一瞬遠のいた。
『死ねるかもしれない』なんて喜びを感じたが、然し、現実はそう甘くはなかった。
意識を死の狭間で縫い付けられた俺は、とにかく前へ進んだ。
突然、立派な教会が目の前に出てきた、此処にも、神はいるのか。
俺はここにいてはいけないと思い、踵を返そうとしたが、力を失った身体がそれを拒んだ。

「くっそ………、痛ってぇなぁ、あのやろうっ…！」

俺を刺した軍人への恨みを込め、呟いてやった、呪われればいいのに
俺は其処で気を失った。

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