検索窓
今日:24 hit、昨日:14 hit、合計:7,455 hit

99:歩幅と飲み込んだ思い ページ1

(リヒトside)

大丈夫。
そう言って甲斐甲斐しく世話や手当を始めたセラの回りには、いつの間にか沢山の人が集まっていた。

一瞬、微笑んだセラの顔が歪んで見えたのは気のせいだろうか。ついさっきまで具合が悪かった筈なのに。…エンマさん、って人も心配していたようだったし。

けれど大丈夫と言われたら、僕に言えることは何も無くなってしまう。だって僕にセラを止める権利なんか何一つないのだから。
僕にとってセラは、「僕」を探しだして手を差し伸べてくれた存在だけれど、セラは誰にだって手を差し伸べるのだ。


…そしてきっと、セラにとって僕はその中の一人でしかない。


だから、僕にセラを止める権利なんてない。
無理しないで、なんて。大丈夫なんて言わないで、なんて……言えるわけがないんだ。







悶々とした思考の中で、突然不意に何処かへ歩いてみたくなった。
僕には帰ってくる場所がある。此処には、帰ってきていいといってくれる人がいるから。


そっと息を殺し、小道へと足を進める。
もしもこの先で誰かと出会ったら、僕も言ってあげよう。


……ようこそ、忘却の街へ。


そう微笑むことが出来たなら、僕も誰かに手を差し伸べられるだろうか。セラが僕を見つけてくれたように、僕も誰かに寄り添えるだろうか。


微かな期待に胸を膨らませ、落ち葉を踏みながら木立を進む。

見上げた空は、広く、澄んでいた。

100:ここはどこ?→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
25人がお気に入り
設定タグ:忘却の街 , オリジナル , ファンタジー , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

零兎(プロフ) - 小説読んであらすじ見てきますー (2017年8月1日 21時) (レス) id: 377a049b03 (このIDを非表示/違反報告)
零兎(プロフ) - [壁]_-)お久しぶりです。誰か居ますか? (2017年8月1日 21時) (レス) id: 377a049b03 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 更新します! (2016年7月31日 21時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
神楽柚希.@じゅんは我の彼氏.(プロフ) - 猫田あみいさん» 教えてくださりありがとうございます…!!タイトル入れてきますねッ. (2016年5月31日 23時) (レス) id: f95df422fb (このIDを非表示/違反報告)
猫田あみい(プロフ) - 神楽柚希.さん» タイトルが抜けてますよヽ(´o`; (2016年5月31日 20時) (レス) id: 26aa867e92 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りあ x他6人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月23日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。