桜色の少女の影に。【ミカグラ学園組曲】 (ページ32)

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桜色２６。ページ32

違和感を感じたまま迎えた相良さんとの試合。

「今度の相手は天文部～？おんなじ天文部だったら射水くんと当たれば良かったのに～。あははっ！雑魚が相手じゃ呆気なさすぎてつまんなーい」

相対する相良さんはそう、高飛車に言い放った。

『ずいぶんと、余裕ですね』

演劇部のウサギとの戦いで、貴方の弱みなんか全て分かっているというのに。

『雑魚はどっちなのか、分からせてあげます』

私の言葉と同時に試合が幕を開ける。

「どの口が叩いてんのよ！モルトアクセントっ！」

相良さんの能力によって、体に不自然な程の重力がかかる。
ふわふわと浮かぶ相良さんは余裕綽々といった様子でこちらを見下ろしていた。

「手も足も出ないの？なーんだ、所詮は口だけってこと～？」

笑いを堪えきれないといった相良さんは空中で足を組み直す。

『こちらのターンです。シニカルダークマター』

左手で握りしめたビー玉が光を纏うと同時に、漆黒の闇が吹き出した。

それは私を中心として地面に絵を描くように広がっていく。

すぐに相良さんのすぐ足元の地面も黒く覆われた。

『私は動けなくても攻撃は、可能』

そう。重力がかけられるのはほんの一部分。
そこから離れれば攻撃は可能なのだ。

相良さんへと一直線に伸びていく闇は瞬く間に１つ目のクリスタルを破壊した。

「黙れ雑魚がァっ！」

相良さんは激昂し私のクリスタルに向かって足を降り下ろした。

避けられないと目を瞑ると、頭の中にあの声が響いた。

〔宮守A、ボクが勝たせてあげる〕

その瞬間、体の主導権が私から誰かへと移った。