episode1 始まりは突然に ページ1
朝起きて、学校に行って、授業受けて、部活に行って、家に帰って、寝て、また起きて。
俺の毎日はそんな風に過ぎていく。
中学時代の俺は、高校生活に沢山の憧れを抱いていた。
今振り返ってみると、浮かれていた自分がどうしようもなくバカらしく思えてくる。
理想と現実は違う。その言葉が身に染みるようだ。現に、重たい瞼を開けることさえ億劫になっているなんてことは到底、過去の自分から見れば信じられないのであった。
キラキラ輝くドラマの中のような高校生活とは無縁の生活を送る俺は、自室のくるくる回る椅子に腰掛け静かに溜息をついた。
「あーあ、空から女の子降ってきたりしねーかなぁ」
……天空に浮かぶ城とかからさ?
この際、ファンタジーでも何でもいい。俺の世界にイレギュラーな存在を持ち込みたかった。それで何かが変わるというのなら大歓迎、望むところというものだ。
それともこのつまらない日常には、一筋の光さえ射し込んではくれないのだろうか。
この時俺は、心から非日常を求めていた。
「へいへい!そこの君!お呼びですかー??」
「………!?」
前言撤回。
非日常なんてそう易々遭遇してはいけない。
……だって心臓がもたないだろ?
現に、鏡の向こうから俺に笑いかける金髪少女を前にして、俺の思考はフリーズしかかっていた。
「あ、自己紹介が遅れましたねー!私はアリスと申します!以後お見知りおきを!」
「……ふ、藤宮怜、です。よろしく…?」
「レイくんですかー!よろしくです!」
アリスと名乗る少女は、妙に親しげに俺の名を口にした。一体何なのだろうか。この少女は鏡の中から俺に話しかけている。とうとう俺もおかしくなってしまったのだろうか…?
「さて、レイくん!……はいっ!」
そんな俺の思考回路になど全く気付いていないアリスは満面の笑みを浮かべ俺に手を差し出す。
いきなりの行動に挙動不審な態度を取る俺に、握手ですよ、握手っ!と頬を膨らますアリスは強引に俺の手を取った。
その瞬間、強く手を引かれ俺は、
────鏡へと、飛び込んでしまった。
襲ってくるはずの衝撃に備え、目を瞑る。
しかし、意外にも鏡はちゃぽん、と水面のごとく波打ち、俺を呑み込んだのだった。
「ようこそ不思議ノ国へ!1名様、ご案内〜♪」
薄れ行く意識のなか、微かにアリスの声が聞こえた気がした。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかね - 2015年!? 更新されてないんか…続き欲しいなぁ (2021年3月5日 20時) (レス) id: a9fcb1b6bd (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - はにぃさん» ありがとうございます!そういって頂けて、とても嬉しいです!テスト期間のため中々更新出来ませんが、頑張りたいと思います! (2015年9月22日 21時) (レス) id: 992ea4a363 (このIDを非表示/違反報告)
はにぃ(プロフ) - はじめまして、作品とても面白かったです。これからも更新楽しみにしています、頑張ってください。 (2015年9月22日 21時) (レス) id: e684a13d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りあ | 作者ホームページ:http://uranai.
作成日時:2015年9月12日 21時