4 ページ5
「何でこんな所にいるの」
「野暮用があってそのついでにちょっとぶらぶらしてただけだよ。そしたら君が居たから近くに寄ってみたんだけど全然俺に気付かないし、なんか苦しそうだったし。
案の定、業障か残滓のせいだったんだね」
「……手、離して。人間が触れたら一溜りもないから」
「だって離したらどこか行っちゃうでしょ？それにこれ、治す宛があるんだけど興味ない？？
鍾離先生にも頼らなくていいし、降魔大聖にも頼らなくていい。どう？」
腕を掴まれたままつらつらと喋られる。私はこの人間が少し苦手だった。何か企んでいるような気がするからだ
今もこうして何かを得る為なのか交渉しにきてる。私が揺れる話をしてくる
少し間を置いた後、口を開いた
「興味ない。何を企んでるか分かんないけど自分で何とかするから放っておいて」
「え〜？何も企んでないよ。目の前で苦しんでる女の子がいたらそりゃあ助けたくなるでしょ？」
「私は人間じゃない。一緒にするな」
「……はぁ。仕方ない、ほら。口開けて」
「何でくt……………っ！！」
いつの間にか持っていた錠剤を私の口に放り込んできた。反射で出そうとすると手で口を塞がれて飲めと言わんばかりの目線を送られる
腰を掴まれ逃げられない体制にさせられ、観念してその錠剤を飲み込んだ。それを確認したタルタリアはふっと笑い私を解放する
「飲んだね。あと数時間もしたら良くなると思うよ」
「…何を飲ませたの」
「君のその怪我に効く薬だよ。そんなに警戒しないでよ、一応先生と約束してるんだから。君らには害を与えないって。だから安心して」
そんな契約してたのか、鍾離…
契約も約束も重んじる人だからタルタリアが言ってる事は正しいのかもしれない。だけど一つ疑問が残る
何でこのタイミングでタルタリアが現れて都合よく薬を持ってたのか
こいつはファデュイの上官であり何かしら裏でひそひそと動いてるのは知ってる。利益が出ない事を自らする訳が無い
「信用出来ないって顔してるね？」
「そりゃそうでしょう。黄金屋で空に手を出した事知ってるし信用しろって言う方が無理
…で。本当は私に何の用で来たの。建前なのは知ってる」
「別に他意はないよ。ほら、そんな事言ってる間に痣が小さくなった」
あからさまに話を逸らされ腕に目をやる
……消えてる
抑えてくれたのは事実。感謝を伝えると
「いーえ。じゃそのお礼は今度会った時俺と一戦交えるって事で。またね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 294人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：io | 作成日時：2022年6月29日 3時
