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ワーグナーはとても丁寧に作り方を教えてくれた。私は慣れない手つきでハンマーを使い、これまた危なっかしい手つきで髪留めを彫っていく。かなり繊細な作業でとても集中力を要した。
何時間もかけてようやく出来上がった髪留めは、確かに世界に一つしかない宝物だ。ゴム部分はしっかりとした生地を使っているので、余程のことがない限り切れてしまうことはない。肝心の装飾部分は璃月で採取した希少な夜泊石という鉱石を丸く加工しており、その性質上 暗くて静かな夜に微かに光る。そこへ向けて私が彫り込んだ梟は、しっかりと両翼を広げている。
それだけでなく、装飾部分には私が必死になって手に入れた素材、霧海雲間の金丹を粉末にしたものをコーティングしてある。これは服用すると不老不死になれると言われている丹薬であり、本来は武器を強化するために使われるものだ。だけど私はどうしてもこれを使いたかった。不老不死云々は関係なく、ディルックの身に何かあれば守ってくれるような気がしたから。
「 いい出来だ。きっと喜ぶだろう 」
「 うん…。ありがとう 」
ワーグナーはそう褒めてくれたけど、私の気分は落ちていた。夜遅い時間まで付き合ってくれて本当に有難いと思っているけど、もうディルックの誕生日パーティはとっくに終わっているからだ。結局 間に合わなかった。日付だって変わってしまっている。
髪留めをポケットにしまって、とぼとぼと寝静まったモンド城を一人で歩く。もしかしたらと思ってエンジェルズシェアの前までやってきたが、やはり閉店の看板が出ていた。
「 …何やってるんだ、私は 」
折角 コナーが招待をしてくれたのに。一年に一度しかない大切な日だったのに。きっと蛍とパイモンも来ていただろうに、冒険譚を聞かせてもらえたはずなのに。
私はもう誰もいないと分かっていながら扉に手を伸ばした。すると、どういうことだろうか。開いたのだ。誰もいないはずの、もうとっくに閉まっているはずのエンジェルズシェアの扉が。
音を立てないように扉を開いて中に身体を滑り込ませた。薄暗い店内には微かに宴の余韻が残っている。床に散らばっているこの色とりどりの紙片は何だろう。まるでアイドルがライブでもしたかのような…。そこまで考えて私は片手で顔を覆う。
「 バーバラの歌、聴けなかった… 」
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しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (
レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - ふわなさん» こんにちは！コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。しばらく毎日更新ですので良かったらまた覗きに来てください。 (2022年11月22日 18時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - コメント失礼します！お話がとっても素敵で読むのが止まりませんでした！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2022年11月22日 13時) (レス) @page14 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
