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「 ……ごふっ 」
まずい。もう時間が残されていない。今日中にこの秘境から必要な素材を手に入れなければ、ディルックに贈る誕生日プレゼントは間に合わない。
仕事以外はほとんどこの秘境を訪れていたけれど、一向に突破できる気配はなかった。もう何度目かの敗北に私の身体は至る所が傷だらけ。今日に限らず、これまでずっと挑戦をしてはボコボコにされてきたので生傷が耐えない。メイド服が長袖で良かった。アデリンたちに心配をかけなくて済む。
「 おや？ こんなところに死体が落ちているじゃないか 」
うつ伏せで倒れ込む私の視界に、ヒールの低い黒のドレスシューズが映った。待って、私は生きているんですけど。
ゆっくり顔を持ち上げてその人物を見上げると、彼女は目を見開いて数歩 後退りをした。「 うお、生きてる！？ 」生きてるから勝手に殺さないで。
その子は色白で小柄な女の子だった。毛先が真紅に染まった濃いめの茶髪は高い位置で二つに結われている。こちらに差し出された手のひらには、中指、人差し指、親指に指輪がついていた。私は「 ありがとう 」とその手を取り立ち上がった。
「 あなた、こんなところで何してるの？ 私はてっきり死体が転がっているのかと思ったよ 」
「 ここで手に入る素材が必要で何度も挑戦してた。驚かせてごめん 」
「 驚いてなんかいないさ！ ただ生きててちょっと残念だったというか 」
「 え 」
「 あぁ、いや、違う違う！ 私は璃月港で葬儀屋を営んでいてね。もしかしたら仕事が舞い込んできたのかと思ったんだよ 」
彼女は璃月港で往生堂という葬儀屋を営んでいる胡桃と名乗った。ここには仕事帰りに通りかかったらしく、丁度そこに秘境から放り出された私が倒れていたようだ。
「 ふむふむ 」胡桃は腰に手を当てて、何やら考え事をしている。そして皿の形にした手のひらにポンと拳を打ち付けて、ずいっと距離を詰めてくる。
「 よし、決めたよ。私はあなたを手伝ってあげよう 」
「 え、でも 」
「 その代わり、あなたがこの世というレールから途中下車した時は、是非とも往生堂をご利用くださいね！ ね！？ 」
「 わっ、わわ、分かった。分かったから。私にももう時間があまりない。こちらからお願いしたいくらいだ 」
胡桃はニヤリと笑うと、「 契約成立だね！ 」と火の蝶々を羽ばたかせた。
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杏仁豆腐のスプーンになりたい - 続きすんごい気になる……更新頑張ってください…！ (4月29日 1時) (
レス) @page49 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐のスプーンになりたい - 流石に可愛すぎる (4月29日 0時) (レス) @page7 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
